「選抜高校野球・組み合わせ抽選会」（８日、オーバルホール）

　じっとステージ上の組み合わせ表を見つめた。能登半島地震の影響を受けた日本航空石川は、１回戦最後の試合で常総学院と対戦する。激戦Ｄブロックに組み込まれ、宝田一慧外野手（２年）は率直な思いを語った。

　「強豪がそろっているので、クジを引いた時はびっくりしたんですけど、強い相手こそ燃えるのでプラスに捉えたい」

　中村隆監督（３９）は常総学院の印象について「高校野球を引っ張っていくチーム」と明かし、「選手たちには気負わせずに、よそ行きの野球ではなく自分たちの野球をすることが勝利に近づくと思う」とうなずいた。

　被災地の様子を目の当たりにした選手たちは当初、「生死を分けることではない、好きでやっている野球を思い切りやって良いのかと戸惑いがあった」という。それでも、集団避難先の山梨で受けたサポートや、輪島市民からのエールに背中を押された。「周りの支えを感じ感謝すること、小さなことに幸せを感じること、精神的に大人になってきている」。つらい経験が消えるわけではない。それでも、選手たちの全力プレーに希望を見いだす人は多くいるはずだ。