青森山田・吉川 木製バットでサヨナラ呼んだ!三塁打含むマルチ安打 センバツ初星お膳立て

 9回、伊藤英のサヨナラ打で生還し、吠える青森山田・吉川(右)(撮影・石井剣太郎)
 9回、三塁打を放つ青森山田・吉川(撮影・石井剣太郎)
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 「選抜高校野球・1回戦、青森山田4-3京都国際」(21日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、青森山田(青森)がサヨナラでセンバツ初勝利をつかんだ。新基準の低反発バットが導入された今大会では初めて、吉川勇大内野手(3年)が木製バットを使用。決勝打をお膳立てする三塁打を放つなどマルチ安打を記録した。

 聖地に乾いた音が響いた。ぐんぐんと伸びる打球が中堅手の頭上を越えると、場内のボルテージは最高潮。ヘッドスライディングで三塁へ到達した吉川は、力強く右拳を握りしめた。

 「何としても出塁しようとチームバッティングを心がけた結果が良い形になりました」

 同点の九回。前を打つ主砲・原田が新基準バットで右翼線へ大飛球を放つも、フェンス際で失速して右飛に。「後ろから見て入ったのかなと思ったんですけど、やっぱり低反発だなと…」。自身は木製バットを握りしめ、打席へと入った。相手エース・中崎の低め133キロ直球をうまく捉え、左中間へ貴重な一打。続く伊藤英のサヨナラ打で、センバツ初勝利を決めるホームを踏んだ。

 使用するのは、重さ890グラム、ミドルバランスの松本剛(日本ハム)モデル。将来的なプロ入りを目指して以前から練習時は木製バットを使用していた中、一度も低反発仕様を試すことなく木製一本を決断した。従来の金属バットよりは飛距離が劣るものの「低反発でみんなが打っているのを見ていて、自分は木製の方が飛ばせるなと。振り抜ける感じが良い」と難なく適応。12本を甲子園に持ち込んだ。兜森崇朗監督(44)も「吉川と対馬の2人には木が合っていて、打撃そのものの進歩につながっている」と手応えを明かす。

 1974年夏から金属バットの使用が許可された中、甲子園大会では同年夏に優勝した銚子商・篠塚利夫が唯一、木製バットで出場。2004年には愛工大名電・鈴木啓友らが走者を送る場面のみ木製バットを使った。前例は少ないが、「どんなバットでも、結果を出すのは一緒」と吉川。新たな局面を迎える高校野球において、物珍しさではなく、実力で存在感を示す。

 ◆吉川 勇大(よしかわ・ゆうだい)2006年7月4日生まれ、17歳。青森県青森市出身。183センチ、80キロ。右投げ右打ちの遊撃手。新城小1年時から大坂クラブで野球を始め、青森山田中の硬式野球チーム「青森山田シニア」では全国制覇。青森山田では1年春からベンチ入り。50メートルは6秒8、遠投は100メートル。

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