巨人「阿部野球」の原点とは 85年阪神優勝に見た感動と興奮 色あせた写真「これ、すごいだろ」

 初の日本一に輝き、感激の胴上げをされる吉田監督=1985年11月2日、西武球場
3回、梶谷の好守を喜ぶ阿部監督(右)=撮影・中田匡峻
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 「巨人4-0阪神」(29日、東京ドーム)

 巨人・阿部慎之助監督(45)が開幕戦で就任初勝利をマークした。阿部野球の「らしさ」が凝縮された初陣星。その原点には85年阪神優勝に見た感動と興奮があった。

  ◇  ◇

 真新しい長財布の中に色あせた写真がある。日付は85年11月2日。右端に小学1年生の阿部少年が笑顔で写る。幼少期に何度、手に持ったのだろうか。直径十数センチのスナップ写真は両端が薄くなっていた。「これ、すごいだろ」。ある日の移動日、指揮官は宝物を大事そうに取り出した。「原点」がここにある。

 「可愛い顔しているだろ、オレ」。少し目を細めて笑った。緊張気味の少年の横に、現役時代の真弓明信氏が立っていた。父・東司さんが習志野高出身で掛布雅之氏と同級生。3、4番を打った盟友と阪神初の日本一を祝勝会場で祝った。阿部少年もビールかけを生で見たのだ。

 1番・真弓のホームランに憧れ、4番・掛布をマネて左打ちにした。真弓氏が阪神の指揮を執った14年の球宴、写真にサインを入れてもらった。その後はラミネート加工し、今でも大切に財布にしまう。また、岡田監督にも今年3月11日、12球団監督会議で幼少期の憧れを初めて告白。「おーホンマか」と笑みを向けられ、新米監督として若い選手との接し方を聞いた。

 「孫と同じくらいの子たちだけど、今の子たちって野球に興味を持っている、と。野球を教えてあげたら、打ち解けられると言っていただいた」

 千葉県浦安市出身、漁師町育ちの「阪神ファン」。あの日、タテジマ戦士に見た感動と興奮が阿部野球の原点だ。夢見た背中を追った現役時代を経て、今度は監督としてチームを導く責務がある。数奇な運命に導かれた伝統の一戦開幕。いま、宿命を感じている。「強い阪神を倒して優勝、日本一」。記念すべき1勝が、始まりの1勝になる。(デイリースポーツ巨人担当・田中政行)

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