報徳学園 間木最適解で22年ぶりVに王手 2年連続の決勝進出、昨春の雪辱へ
「選抜高校野球・準決勝、報徳学園4-2中央学院」(30日、甲子園球場)
準決勝が行われ、昨春準優勝の報徳学園(兵庫)が中央学院(千葉)に4-2で勝利して2年連続となる決勝進出を決めた。間木歩投手(3年)が先発して8回2/3を8安打2失点と好投。スクイズも決めるなど打でも躍動し、主将の意地でチームを雪辱の舞台へと導いた。2002年春以来22年ぶりの頂点を懸け、31日12時30分開始の決勝で高崎健康福祉大高崎(群馬)と戦う。
チームの命運を一身に背負ったマウンドで間木が仲間のために笑い、ほえた。勝利の瞬間、雄たけびを上げてベンチを飛び出した。
「自分のピッチング次第で試合が変わる。強い気持ちを持ってマウンドに上がりました」。三回まで無安打に抑える完璧な立ち上がり。1点リードの四回に同点適時打、3点リードの八回にも適時打を浴びたが、意地でも勝ち越しは許さなかった。2点リードの九回は2死二、三塁で今朝丸にマウンドを譲ったものの、2万5000人の観客の視線を集めた主役は紛れもなく間木だった。
幾度も後ろを振り返り、ナインの表情を確認。外野手とも身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取り、投げるだけでなく仲間の心理状態までにも気を配った。「自分はキャプテンなんで。ちょっとでも流れを呼べるような行動を意識しています」。18・44メートル間だけに集中するわけにはいかない。マウンドからナインを統率し、投手、主将の“二刀流”を成し遂げた。
野球部でも数少ない特進コースで学び、勉強で練習試合に出られないときもあったががむしゃらに強豪の練習に食らいつき、主将に就任した。理系が得意で好きな科目は数学。「効率とかだったり、なにが一番良いのかを考える」と論理的な思考を投球にも連結させ、配球にも生かすという。
勝ち越した直後の四回1死一、三塁ではセーフティースクイズに成功。狙って一塁側に転がした。「守備位置や相手の投球スタイルを見てここに転がせばいいと」。文武両道の秀才は野球脳も抜群。グラウンドで“最適解”を導き出し、チームを勝利に導いた。
昨年の決勝は先発するも、山梨学院相手に五回途中6失点と炎上。あと1つの難しさは誰よりも分かっている。「絶対この舞台に帰ってきてやると。絶対に勝ちたい」と間木。大角健二監督(43)は「チャレンジャー精神でリベンジしたい」と決意した。学校から甲子園まで直線距離で約5キロ。見慣れた風景を横目に今度こそ笑って帰る。