今秋ドラフト目玉の関大・金丸 アマNo.1左腕のポテンシャルとは? 「投手らしい投手」佐藤義則氏が投球フォーム分析
今秋ドラフトの目玉、アマチュアNo.1左腕の関大・金丸夢斗投手(4年・神港橘)が最上級生のシーズンを迎える。最速153キロを誇り、侍ジャパントップチームにも選ばれた逸材のポテンシャルは、伸びしろは…。数多くの“金の卵”を一級品に育て上げてきた本紙評論家・佐藤義則氏(69)が、金丸の投球フォームについて分析した。
全体の流れを見ると非常にうまく、体の回転を使って投げられている印象を受ける。加えて、写真③のところでも分かるように、大きく胸を張って、しっかり間を取る、投手らしい投手であろうとしていることが伝わり、好感を持てる。
余談だが、間を作らず一連の流れの中で投げる山本由伸のようなタイプは、速球を見慣れているメジャーの打者相手には苦労すると考えている。投手は投手らしく、取るべき時間をしっかり取ることで打者のタイミングを外せる。金丸の優れている点の一つがその部分にある。
例えば写真⑦~⑧。ここで、左肘が後方(三塁側)に引けている。腕がこの軌道を描くと、通常はリリースで遅れ、体が開き、ボールが抜ける。それを防ぐため、多くの投手は腕のタイミングを合わせようと小さなフォームになりがちだ。
ところが金丸の場合、写真⑩の時点で握ったボールと頭との距離がしっかりと取れており、フォームが縮こまっていない。フォームの中で非常にうまく修正できている。もちろん、写真⑦~⑧のように、肘を引かないに越したことはないが、それが弱点になっていないのは能力の高さだろう。
ここからは「あえて言うなら」というところで、今後さらによくなるために、ちょっと目についた改善点について触れる。
一つは、これも写真⑧。左膝が一塁手方向を向いているが、この時点でもう少し捕手向きに押し込めていると、ステップを気持ち、広く取ることができる。そして、広く取っても軸足で強く蹴ることができるから、もっと体重を打者方向に乗せていける。
写真⑫のところで、右足が突っ張って見えるが、これが地面と垂直くらいまで左足で押し込めれば、もっと肘を前に出せる、つまりは「球持ちがいい」フォームになる。
十分、素晴らしい球を持っている上に、こうした伸びしろを感じさせる点でも、プロ入りが待ち遠しいピッチャーだと感じた。
◆金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年2月1日生まれ。21歳。兵庫県神戸市出身。177センチ、78キロ。左投げ左打ち。小学1年から野球を始め、広陵中では軟式野球部に所属。神港橘では3年夏の県独自大会で8強。関大では1年秋にリーグ戦初登板。関西学生リーグでは通算19勝2敗で、現在18連勝中。今年3月には侍ジャパンにも選出され、欧州代表との強化試合で先発し、2回無失点に抑えた。最速は153キロ。変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリット。