ヤクルト村上の200号 今季から加わった“お願い”とは 偉業の道筋を立てた“三人四脚”
「ヤクルト2-0広島」(15日、坊っちゃんスタジアム)
ヤクルトの村上宗隆内野手が八回、史上最年少24歳3カ月で200号本塁打を放った。清原和博の24歳10カ月を更新。偉業の陰には至近距離で見守ってきた打撃投手の存在があった。
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とんでもない成長曲線を描く村上を支え、近くで見守ってきた。距離にして約14メートル、時間にして約3分間の短い“対話”を積み重ねてきた信頼がある。左腕・佐藤賢打撃投手が投じる球を幾度となくスタンドへ運び、令和の三冠王は日々グラウンドに向かってきた。
新人王を獲得した翌年、20年から七條祐樹打撃投手を含めた“三人四脚”は始まった。その過程の中で村上は史上最年少記録を100号、150号と塗り替え、三冠王にもなった。相手投手からの攻めは厳しくなる一方だからこそ、佐藤打撃投手は「僕らは気持ちよく打たせてゲームに臨んでもらいたい」と精神面を支え続けた。
村上からの基本的なコース、高さなどの要望はない。「本当に何でも打ってくれる」4番だからこそ、「ゴロになるよりは打球が上がった方がいいのかな」と互いを思い合うことが快進撃につながっている。
だが、今季から村上からある“お願い”をされるようになったと笑う。ビジターでの練習は時間が制限されることもあることから、「おかわりをするようになりましたね、最近は特に。外でフリー打撃をやって、室内に移ってまた投げたりとか」。4番として背負う重責に加え、村上自身の持つ青天井の向上心が行動を変え、史上最年少200号への道筋を立てた。
グラウンドを出れば、今年24歳になったばかりの無邪気な野球小僧でもある。食事の席では「ムネ(村上)はね、肉奉行。焼き肉に行けば肉を焼いてくれて、みんなに振る舞ってくれる」と主砲の素顔を明かす。
そして、1年間に一度は必ず訪れる好不調の波を受けても変わらない姿に感謝した。「結果が出てないと、選手ってそのまま持ち込んできてしまう。でもムネはいつも一生懸命。ナイターデー(ナイター翌日のデーゲーム)や連戦でも、いつも通りやってくれるので助かります」。底知れない成長は、さまざまな支えがあってこそ輝きを増している。(デイリースポーツ・ヤクルト担当・松井美里)