中日・小笠原 逆転呼んだ決死のダイブ「体が動いちゃいました」1年前涙した東京ドームで気迫2勝
「巨人2-4中日」(22日、東京ドーム)
中日・小笠原が飛んだ。五回無死一塁。セーフティーバントを試みた吉川の小飛球を追いかける。三塁線付近で右手を目いっぱい伸ばして飛び込み、グラブに収めた。
「体が動いちゃいました。ケガのリスクは飛んだ後、『あっ、危ないかも』と思いました」
浮かんだのは、生まれる2年前の1995年の出来事。右肘を強打して靱帯断裂に見舞われた巨人・桑田真澄(現・巨人2軍監督)のワンプレーは球界で語り草。過去に目にした映像が脳裏をよぎった。結果は「打ったのは胸です」と苦笑い。呼吸を整えて後続を二飛に抑えた。
今季初の東京ドームだった。1年前は心を打たれて涙したグラウンド。開幕・巨人戦の先発を託された。145球の熱投。八回に逆転されたが、チームは勝った。チームメートの奮闘に胸は熱くなった。「ベンチ入りメンバー全員にそれぞれの役割があります。僕にできないことはほかの人ができる。僕は僕のできることをやるだけです」。
あれから1年と少し。ダイビングキャッチして1点を防ぐ姿勢に野手が応えた。六回、細川とカリステの連続適時打で逆転に成功。登板時の援護点は44イニングぶりだった。「入るときは入りますし、入らないときは入らない。気になりません」。6回を7安打2失点の力投で、チームは10カードぶりに勝ち越した。左腕の決死のダイブを、シーズンのターニングポイントにしたい。