「中日２－７楽天」（８日、バンテリンドーム）

　粘りきった先に一生の記憶に残る白星が待っていた。楽天のドラフト１位・古謝樹投手（桐蔭横浜大）がプロ初勝利を手にした。６回で９安打を浴びながら２失点。チームを今季最長の５連勝に導いた左腕の顔には満面の笑みが浮かんだ。

　「もう、うれしいの一言です」。初回に２点を先制されたが、直後に打線が６点を奪って逆転。これで開き直り、気持ちを切り替えた。四回と五回の１死一、二塁のピンチは逃げずに真っ向勝負。「点差もあったのでワンヒットはＯＫぐらいの気持ちで投げることができました」。こう言って、胸を張った。

　湘南学院時代、臨時コーチを務めていた名指導者の小倉清一郎氏に「成瀬を目指して頑張れ」と言われたことが転機に。小倉氏の横浜高時代の教え子でロッテなどで通算９６勝を挙げた同じ左投手を手本に、出どころの見にくい投球フォームを反復練習で習得。剛速球やずぬけた変化球がなくても戦える武器になった。

　もちろん、一つ勝っただけでは満足しない。エースを目指す男は「ひたむきに頑張っていこうと思っています」。地に足を着けて、一歩ずつ前へ進む。

　◇古謝　樹（こじゃ・たつき）２００１年８月１８日生まれ、２２歳。神奈川県出身。１８２センチ、７５キロ。左投げ左打ち。投手。湘南学院から桐蔭横浜大に進み、４年春のリーグ戦で５勝を挙げ、ＭＶＰに輝く。２３年度ドラフト１位で楽天入団。５月２５日・日本ハム戦（楽天モバイル）でプロ初登板初先発し、６回２失点と好投も黒星がついた。