「ＤｅＮＡ８－５ソフトバンク」（９日、横浜スタジアム）

　無邪気な笑顔が弾む。１軍デビュー戦でプロ初勝利を手にしたＤｅＮＡのドラフト５位・石田裕（中大）は、「小っちゃい時からずっとハマスタで野球を見てきたので、ちょっと信じられないです」と感慨を隠せなかった。横浜市磯子区出身のハマっ子で、幼い頃から生粋のベイ党。レプリカユニホームを着て何度も横浜スタジアムに通った。「自分も将来、ここで投げたい」と夢見た場所で、記念すべき１勝を挙げた。

　憧れの舞台で臆することなく腕を振った。１５０キロに迫る直球とシンカーを武器に、強打の鷹打線を５回５安打１失点、６６球で料理した。怖いもの知らずのイキの良さで、４３歳のベテラン・和田との投げ合いも制した。

　奮闘するルーキーを強力援護したのは、中大の３学年先輩に当たる牧だった。初回、左翼席上段まで届く豪快な先制グランドスラム。２人でお立ち台に並び、牧は「投げている姿が堂々としていた。後輩の裕太郎を援護できてうれしい」と自分のことのように喜んだ。

　巨人ドラフト１位の西舘とは大学の同期。開幕２軍スタートだった石田裕だが、制球力と投げっぷりの良さを兼ね備える投球術には定評があった。チームの連敗は「４」で止まった。三浦監督は「攻めの投球をしてくれた。ルーキーがどんどん腕を振って向かっていく姿勢、何か感じるものがあったと思う」と、若い力がもたらした勝利の大きさにうなずいていた。

　◆石田　裕太郎（いしだ・ゆうたろう）２００２年１月２２日生まれ、２２歳。神奈川県出身。１８０センチ、７４キロ。右投げ右打ち。投手。静清、中大を経て２３年度ドラフト５位でＤｅＮＡ入団。伸びのある直球が魅力。今季イースタンでは８試合で１勝２敗、防御率２・０３。