中京大 学生コーチから転身した安藤が全国舞台で大学公式戦初完封「ウルッとしそうだった」全日本大学野球選手権

 9回、中部学院大・元山蔵之助を一ゴロに打ち取り、完封勝利をあげた中京大・安藤利玖(撮影・伊藤笙子)
 中部学院大相手に完封勝利を収め、ナインとハイタッチする中部大・安藤利玖(左)=撮影・伊藤笙子
 中部学院大相手に完封勝利を収めた中部大・安藤利玖(撮影・伊藤笙子)
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 「全日本大学野球選手権・2回戦、中京大3-0中部学院大」(12日、神宮球場)

 中京大の元学生コーチで最速147キロ右腕・安藤利玖投手(4年・安城南)が先発し、9回6安打無失点、9奪三振で公式戦初完封を果たした。

 「腹をくくって投げました」。五回まで4安打に抑えてリズムを作るも、六回前には足の裏の皮がめくれるアクシデントに見舞われ、治療の末に再びマウンドへ。「必死に痛みを我慢するだけ」と歯を食いしばって腕を振り、スコアボードに9つの0を並べきった。

 1年前は想像もできなかった姿だ。1年夏に膝の半月板を故障。「大学では野球を諦めようと」と区切りをつけて学生コーチに転身した。ただ、昨年の秋に打撃投手をした際に高校時代は最速144キロだった球速が147キロまでアップ。医者にも野球を続けることが困難と言われていた中、いつのまにか覚醒を遂げて再びマウンドに戻ってきた。

 今春リーグ戦から公式戦デビューし、全国の大舞台も任された。神宮で野球をすることに憧れて中京大の門をたたいた右腕の夢が一つかなった。ゲームセットの瞬間は天を仰いだ。「ウルッとしそうだったので…」。紆余(うよ)曲折の野球人生を歩んだ苦労人が、夢舞台で躍動した。

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