センバツ8強の阿南光がコールド発進 プロ注目の吉岡に7球団11人スカウト集結 阪神・山本スカウトは変化球を評価
「高校野球徳島大会・2回戦、阿南光10-0川島」(20日、むつみスタジアム)
センバツ8強の阿南光が、コールド発進した。エースの吉岡暖投手(3年)が、川島打線を1安打4奪三振に抑えて5回完封。自らのバットで初回二死一、二塁からライトフェンス直撃の先制二塁打を放ち、五回は一死満塁から左前適時打でチーム10点目をたたき出して最後を締めた。
センバツでは3試合26回を投げて30奪三振。この日は「打たせてとるピッチングを心がけた」が、ストレートの制球が定まらず、三回には連続四球でピンチを招いた。「初戦は難しいですね。調子が悪かった。(自己採点は)0点です」と納得のいかない出来ながら、得点は許さなかった。
プロ注目投手の初戦とあって、球場には7球団11人のスカウトが集結。阪神の山本スカウトは「ストレートは141キロくらいだったけど、カットとスライダーがいい。まだ初戦だから、これからどれくらい出力が上がってくるかだが、春の評価は変わりません」と期待した。
選抜後、U-18日本代表候補合宿に召集され、同期のトップたちから貪欲に吸収。なかでも広陵(広島)の高尾響投手(3年)から横に曲がるカットボールを教わった。その秘密兵器は「サインが出たけど、首を振りました。まだ出す時期じゃない。次かその次ですね」と温存し、いたずらっぽく笑った。
2010年に野球のまち推進課を立ち上げ、野球を町おこしの目玉にしている阿南市にとって、阿南光は希望の光。「野球の町って言われるようになるには、僕らが少しでも活躍しないと」。春にベスト8で敗れたときには甲子園の土を持ち帰らなかった。再び聖地へ、目指すは優勝のみ。暖(はる)の夏が始まった。