帝京長岡・茨木佑太162球完投も甲子園逃し涙 阪神の兄・秀俊を追い「プロを目指している」幼少期からシャイな2人

 帝京長岡・芝草監督(左)に声をかけられ、涙を流す茨木
 決勝戦に先発し力投する帝京長岡・茨木佑太(撮影・西岡正)
 決勝戦に先発する帝京長岡・茨木佑太(撮影・西岡正)
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 「高校野球新潟大会・決勝、新潟産大付4-2帝京長岡」(26日、ハードオフエコスタジアム新潟)

 あと一歩が遠かった。帝京長岡は初の甲子園出場ならず。ぼうぜんとベンチに座っていたプロ注目・茨木佑太投手(3年)は、芝草宇宙監督(54)に声をかけられた瞬間、おえつを漏らした。

 初回はスカウト陣のスピードガンで145キロを計測するなど三者凡退。だが、二回に味方失策も絡み2点を先制され、五回にも連続四球から失点した。162球8Kで完投も10安打4失点。「自分のせいで負けてしまった」と肩を落とした。

 同校OBで阪神に所属する兄・秀俊(20)の背中をずっと追ってきた。兄弟ゲンカはほとんどないといい、母・豊味さんは「弟のやることはお兄ちゃんは黙って見ているし、弟はお兄ちゃんには逆らわない。尊敬するお兄ちゃんなんじゃないでしょうか」と間柄を明かす。思い出すのは小学校低学年の頃。少年野球チームの試合で、恥ずかしがり屋な2人は声出しができず。豊味さんにたしなめられると、「応援してみる?」とお風呂で一緒に声出しの練習をしていたという。

 2年前、秀俊がエースとして同校創部初の決勝進出を導いたが、惜しくも準Vに終わった。背番号1を継承して立った同じ決勝の舞台。前日には兄から「あと1勝頑張れ」と連絡をもらったというが、「小学校から兄と同じ進路に進んで、悔しい思いをしてる姿も見てきたので、それを自分の力に変えないといけなかった」と唇をかんだ。

 7球団15人が視察した中、進路は「ずっとプロ野球選手を目指しているので、監督と相談して考えたい」と熟考する。秀俊も担当した阪神・筒井スカウトは「兄と似て運動能力が高く楽しみ」と評価。巨人・大場スカウトは「体が大きく投打ともにセンスがある。伸び代十分」と話した。「甲子園を決めきれなかったところは自分の弱い所。これから上のステージで成長していきたい」と茨木。この涙を糧に、兄と同じ舞台を目指す。

 ◆茨木 佑太(いばらぎ・ゆうた)2006年5月9日生まれ、18歳。北海道札幌市出身。188センチ、92キロ。右投げ右打ち。手稲中央小1年から手稲ヤングスターズで野球を始め、手稲中では硬式の札幌東シニアに所属。兄の恩師である元日本ハム・芝草監督を師事して帝京長岡へ進学し、1年夏からベンチ入り。4番を務め打力にも定評がある。

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