花咲徳栄 タイブレークV プロ注目の石塚4安打4打点躍動「自分のバットで、という強い気持ちを持って」
「高校野球埼玉大会・決勝、花咲徳栄11-9昌平」(28日、大宮公園野球場)
歓喜の瞬間、誰よりも早くマウンドへ駆け出した。花咲徳栄・石塚裕惺内野手(3年)は「フライングしてしまいました」といたずらっぽく白い歯をこぼす。2019年以来、5年ぶり8度目となる夏の頂点。自身初の甲子園切符をつかんだ。
「本当に甲子園に行きたくて、行きたくて…。きょうは自分のバットで、という強い気持ちを持っていました」
言葉通りの活躍だ。初回1死二、三塁では右中間へ先制の適時三塁打。1点差に迫られた五回2死満塁では左前へ2点適時打を放った。3球団が視察した中、4安打4打点と躍動。ヤクルト・橿渕スカウトデスクは「集中力と技術力が際立っていた。高校生内野手では3拍子で一番レベルが高い」と高く評価した。
1年時から注目を集めたが、これまで甲子園には届かず。浦和学院に敗れた昨夏決勝は最後の打者となった。「浦和学院が優勝してマウンドに集まってる写真の新聞の切り抜きを、寮のロッカーに張っていました」。厳しいマーク、勝負を避けられることもあった。今春の関東大会は右肋骨(ろっこつ)骨折で欠場。多くの試練を乗り越え、毎日目に焼き付けてきた悔しい光景を塗り替えた。
狙うは、中日・清水や日本ハム・野村らを擁した2017年以来の全国制覇だ。「7年ぶりの優勝旗を持って帰れるように」。次は聖地のマウンドで歓喜の輪を作る。
◆石塚 裕惺(いしづか・ゆうせい)2006年4月6日生まれ、18歳。千葉県八千代市出身。181センチ、81キロ。右投げ右打ち。内野手。幼稚園年長から勝田ハニーズで本格的に野球を始め、村上東小6年時に千葉ロッテマリーンズジュニアに選出された。村上東中では佐倉シニアに所属。花咲徳栄では1年秋に三塁のレギュラーとなり2年春から正遊撃手。50メートル走6秒2、遠投100メートル。高校通算26本塁打。