聖カタリナ どん底からはい上がって甲子園最終の切符をつかむ 西条の猛追かわして初出場

 優勝を決めてマウンドに集まる聖カタリナ学園ナイン
 優勝行進をする聖カタリナ学園・有馬(左)
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 「高校野球愛媛大会・決勝、聖カタリナ学園7-6西条」(30日、坊っちゃんスタジアム)

 49校目の最終切符を手に入れたのは聖カタリナ学園。西条の粘りに苦しみながらも初めて夏の甲子園出場を決めた。

 一度は5点差まで広げたリードが、終盤に西条の猛攻に遭い、先発した有馬恵叶投手(3年)は2点差に迫られた九回一死満塁で降板した。ワンポイントが犠飛を打たれて1点差になると、右翼から再びマウンドに上がって登板。最後の打者を一邪飛に打ち取ると、190センチの長身が右手の人さし指を高々と上げて愛媛ナンバー1をアピールした。

 「西条の応援がすごくてビビりました」。初回、四球や暴投が絡んでいきなり2失点。二回から七回までは無安打に抑えたが、握力が低下して終盤につかまった。それでも浮田監督は「最後は有馬で力で押し込もうと思った」と託し、エースも「監督の期待に応えたかった」と残りの力を振り絞った。

 2022年、部員の集団暴力行為により、1、2年生は夏と秋の大会に出場できなくなった。その世代が現3年生。試合はできず、練習時間も半分に減らされ、同級生5人が辞めた。下級生は勧誘できず、今の2年生は1人だけ。有馬は「チームはどん底の状態。なあなあになってた時期もありました」と告白する。

 センバツ出場の経験がある聖カタリナ学園が息を吹き返したのは、浮田監督が昨年2月に就任してから。まずは地域に愛されるチームになろうと、ゴミ拾いや募金活動で社会に貢献し、指揮官自らTikTokをアップした。

 チームを見事に再生した浮田監督が優勝の要因として一番に挙げたのが「有馬の成長」だ。昨秋は20人のメンバーから外れてスコアラー。春は背番号18で6番手投手だった。それが体幹を徹底的に鍛え、トレーナーと相談して夏をピークに持ってくる体力作りで大会前に背番号1を与えられた。指揮官は「潜在能力もすごいが、本当に努力していた。下半身をもっと鍛えれば150キロは出せるのではないか」と、さらなる成長を期待する。

 どん底から愛媛の頂点へ、有馬は「夢の舞台。もっとすごい応援だと思うけど、ビビらずにまずは1勝を」と控えめに甲子園の目標を語った。だがチームに無限の可能性を感じる浮田監督は強気だ。「野球王国・愛媛の力を見せたいです」。数々の伝説を残してきた愛媛県代表。今度は聖地で聖カタリナ学園が“赤い旋風”を起こす。

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