宮崎商・中村奈一輝「宮崎を勇気づけたかった」 両足つりながらも最後まで「恥じないプレーできた」
「全国高校野球選手権・1回戦、中京大中京4-3宮崎商」(10日、甲子園球場)
満身創痍(そうい)の中、懸命に白球を追い続けた。プロ注目の宮崎商・中村奈一輝内野手(3年)は、両足をつりながらも最後まで出場。「治療の時間から流れが悪くなってしまった」と悔やんだが「この大歓声の中で試合ができたのは宮崎で1校だけ。恥じないプレーはできた」と胸を張った。
アクシデントに襲われたのは七回だ。表の走塁時に違和感を覚えると、裏の守備で後方の飛球に飛び込んだ時に両足がつった。ベンチへ戻り治療。苦悶(くもん)の表情を浮かべていたが、仲間から「絶対に出てくれ」と声をかけられ「行くしかないと思った」と再びグラウンドへ戻った。
頑張りたい理由はそれだけではなかった。学校のある宮崎が8日、最大震度6弱の強い揺れに見舞われた。それでも応援団は陸路で半日以上をかけて甲子園へ。「来られるか分からない状況で来てくれた。感謝しかない。とにかく宮崎を勇気づけたかった」。故郷を思い、最後まで戦い抜いた。
「やりきりましたね。堂々と宮崎に帰りたいです」と泥だらけのユニホームに手を当て、さわやかな笑顔で甲子園に別れを告げた。