白い広陵 エース高尾ほえた サヨナラのピンチ連続K締め 春夏通算40勝の中井監督「ぶちうれしい」
「全国高校野球選手権・2回戦、広陵2-1熊本工」(12日、甲子園球場)
2回戦4試合が行われ、広陵が熊本工との接戦を制し、4季連続の初戦突破を決めた。プロ注目のエース・高尾響投手(3年)が6安打1失点で完投勝利。中井哲之監督(62)へ春夏通算40勝目をプレゼントした。
ポーカーフェースのエースが咆哮(ほうこう)した。一打サヨナラの場面を切り抜け、三塁アルプスの大歓声を背中に浴びる。高尾が110球の熱投でチームを初戦突破に導いた。
「最後だったので、負けないという気持ちで腕を振りました」
1点リードの九回だ。1死二、三塁のピンチを迎え、ギアを上げた。「フルでいくと決めていた」と、7番・山口悠をこの日の最速146キロ直球を内角いっぱいに投げ込み、見逃し三振。代打・山口光からはフォークで空振り三振を奪い、試合を締めた。
チームは今大会から暑さ対策のため、帽子、アンダーシャツ、ヘルメットを黒から白に変更。見慣れない姿に「違和感しかなかった」と笑う。しかし、効果は抜群。「腕の暑さは変わった。疲れはかなり軽減されている感じがする」と“白い広陵”は大きな追い風になりそうだ。
1年生から名門の背番号1を背負う逸材。自身4度目の聖地は集大成の舞台になる。視察に訪れた阪神・山本スカウトは「ピンチでギアを上げられる賢い投手」と高評価。巧みな投球術で確かな実力を証明して見せた。
この日の勝利で中井監督は史上9人目、歴代7位タイとなる春夏通算40勝を達成。開口一番「ぶちうれしいです」と広島弁で喜びを表した。記録については「どうでもいいです。みんなが勝たせてくれました」と選手の躍動をたたえた。
次戦は東海大相模と激突。初の夏頂点を狙うチームに、難敵が立ちはだかる。「(甲子園は)楽しい。チームを勝たせるようにやっていくだけ」と高尾。頼れる右腕が有終の美を飾るべく、全てを出し切る。
◇高尾 響(たかお・ひびき)2006年5月22日生まれ、18歳。福岡県出身。身長172センチ、体重73キロ。右投げ右打ち、投手。小1年から軟式の土井ジャガーズで野球を始め、粕屋東中時は硬式の飯塚ボーイズに所属。広陵では1年春からベンチ入り。1年秋の神宮大会では準優勝。2年春のセンバツではベスト4。最速148キロ。