智弁学園・田近 遅球制圧「ただ遅い」魔球で春王者・健大高崎斬り 精度に「自信」10K完投、打っても二回同点打
「全国高校野球選手権・2回戦、智弁学園2-1健大高崎」(14日、甲子園球場)
2回戦4試合が行われ、智弁学園(奈良)が今春センバツ王者の健大高崎(群馬)を下して2年連続となる3回戦進出を決めた。エース左腕の田近楓雅投手(3年)が8安打1失点で完投。健大高崎は史上8校目(9度目)の春夏連覇を逃した。
“ただの遅いボール”で春王者を制圧した。智弁学園・田近が100キロ台の遅球で優勝候補筆頭だった健大高崎打線を翻弄(ほんろう)。九回、最後の打者を空振り三振に斬ると、拳を握りしめて雄たけびを上げた。
「日本一になるために倒さないといけない相手だった。素直にうれしいです」。初回からいきなり先制適時打を許し、9イニング中5度も得点圏に走者を背負った。8安打を浴びながらも、終わってみれば10奪三振をマーク。健大高崎のドラフト候補・箱山を4打数無安打に抑えるなど要所を締めて金星をつかんだ。
「自分的にはただ遅いボールとしか思っていないんですけど…」。そう話すチェンジアップが“魔球”と化した。中学1年時に投げ始め、今では落とす方向も自在に操れるほど精度が向上。いつしか自慢のウイニングショットとなった。「自信があるので。ほとんど打たれたことがない」。センバツV校相手にも臆することなく投げ込んだ。
空振り三振を食らった健大高崎・森山は「打てると思ってしまうボール。どうしても振ってしまう」と証言した。新チームから変化球の見極めを徹底し、春を制した強力打線を寄せ付けず。それほど田近のチェンジアップはさえ渡っていた。
バットでも二回に同点打を放つなど投打で勝利に貢献した左腕は、「チェンジアップの調子が悪い日はない。一戦必勝で日本一を目指す」と宣言。伝家の宝刀でチームを初の夏の頂点へと導く。