早実 奇策内野5人シフトで意地 延長十一回死闘の末サヨナラ負け 和泉監督「互いの生徒美しかった」

 「全国高校野球選手権・3回戦、大社3-2早実」(17日、甲子園球場)

 月が見つめる甲子園がどよめいた。早実(西東京)の和泉実監督(62)が声を張りナインに指示を飛ばす。九回、サヨナラの危機で執念の采配。名門の意地と大社旋風が激突した。

 奇策が講じられたのは九回、スクイズで同点に追いつかれ、なおも1死二、三塁。和泉監督は左翼手を1年生の西村悟志内野手に交代させると、西村を三塁側のマウンドほぼ真横に位置させた。外野手は右中間と左中間付近を守り、まさかの内野5人シフト。大社・藤江龍之介内野手(3年)が放ったゴロは見事に西村の元へ飛び、7-3-2の併殺を完成させた。

 試合後、和泉監督は「とにかくスクイズだけはさせまいと。勝負どころではあるよと練習はしていたんですけど、練習試合含めて今日が初めて」と明かした。西村は本職が二塁。今夏の西東京大会前から投内連係で何度も練習していたといい「やっと来たかという思いとプレッシャーを感じました」と振り返った。

 試合は延長十一回の死闘の末にサヨナラ負け。それでも両校に惜しみない拍手が送られた。和泉監督は「お互いの生徒が美しかった。きょうの敗戦は監督を辞めても覚えていると思う」と涙。100周年の聖地に、また一つ名勝負が刻まれた。

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