ミラクル大社、散る 107年ぶり4強はならず 4戦計492球のエース馬庭は涙も土は持ち帰らず「次の代にも来てほしい」と後輩に思い託す

 「全国高校野球選手権・準々決勝、神村学園8-2大社」(19日、甲子園球場)

 大社(島根)が敗れ、107年ぶりのベスト4進出はならなかった。6点を追う九回は安打と死球などで1死満塁。エース左腕の馬庭優太(3年)はベンチから目頭を押さえながら仲間を鼓舞。しかし、思いは届かず、最後の打者が二ゴロ併殺に倒れて万事休した。

 馬庭はこの日3番手で登板。七回につかまった。先頭を空振り三振に仕留めたが、次打者に四球。左前打で1死一、二塁とされると、左前適時打、左越え2点三塁打、中越え適時二塁打。高めに浮いたボールを痛打されて、4連打で一挙4点を失った。八回にも1点を追加された。

 この日は1回戦から3試合連続の馬庭はベンチスタート。背番号10の岸恒介(3年)が先発した。1-0の二回に同点とされると、1-1の四回は3四球で2死満塁。押し出し四球で勝ち越し点を与えて降板した。ここで背番号20の山本佳汰(3年)が2番手でマウンドへ。次打者を二ゴロに打ち取り、追加点を許さなかった。

 馬庭は2-2の五回無死一、二塁のピンチで3番手で登板した。最初の打者を遊ゴロに打ち取ったが併殺を狙った二塁・高橋翔が一塁へ悪送球。二塁走者の生還を許した。それでも馬庭は後続を遊ゴロ、投ゴロに仕留め最少失点で食い止めた。

 甲子園での4試合で合計492球を投げた馬庭は雨にぬかるんだ地面に対応できなかったとし「準備不足。悔いが残る。打ち込まれて力のなさを感じた」と振り返った。「マウンドに上がるにつれて幸せな場所だなと思いました。土は持って帰ってない。次の代にも来てほしいので」と無念の思いを後輩たちに託した。

 石飛文太監督は「素晴らしい時間を過ごさせていただいた。最後は馬庭に託した。私の采配ミスで点がそれなかった。申し訳ない」と話し、同時に「大社の歴史が動いた瞬間であるのは確か。全員の力。今後100年にタイしてのスタートだと思う」と前を向いた。

 大社は1回戦で今春センバツ準Vの報徳学園(兵庫)を破ると、2回戦は創成館(長崎)との延長戦を制して1917年の第3回大会以来、107年ぶりの夏の甲子園2勝を挙げた。3回戦では延長十一回に及んだ激闘の末に早実(西東京)を下して1931年大会以来、93年ぶりの8強入り。攻守に神がかった勝負強さを見せて勝ち上がったが、快進撃が止まった。

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