早実から大社に受け継がれた敗者の姿勢 エースが涙をにじませ神村学園ナインに感謝 ファン感動「だから高校野球っていい」馬庭「幸せな試合を3試合も」

 「全国高校野球選手権・準々決勝、神村学園8-2大社」(19日、甲子園球場)

 107年ぶりの4強進出を目指した大社は、中盤以降に突き放されて敗退。それでも試合後、一塁ベンチ前ではさわやかに勝者をたたえる敗者の姿があった。

 ベンチ前で三塁側から控室へ引き揚げていく神村学園の指導者、選手たちを見守った大社。石飛文太監督(42)は胸を張り、さわやかに一声ずつかけていった。その背後にはエース・馬庭優太投手が涙で顔をくしゃくしゃにしながら、引き揚げて行く1人、1人に頭を下げていた。

 3回戦で激闘を演じた早実・和泉監督も、一塁ベンチ前で引き揚げていく大社ナインに一声ずつかけていたシーンが注目を集めた。素直に勝者をたたえる姿勢を今度は敗者となった自分たちが実践。さらにアルプススタンドでも神村学園の校歌斉唱に手拍子を送るなど、高校野球ファンを感動の渦に巻き込んだ。

 SNSでは「早実の和泉監督から労いの声かけてもらって次は自分たちが勝った相手高校を称えて…だから高校野球っていいんだよね」「大社は試合に負けたけど敗者ではない。胸を張って帰って欲しい」「早実の和泉監督も大社の選手達に声を掛けていましたね。こうして良い事が広まっていくのは素晴らしいですね」といった多くの声が集まった。492球を投げ抜いたエースは「周りのみなさんからも声援をもらって、すごい愛されてるなと思った。幸せな試合を3試合もできた。マウンドに上がっていくにつれて幸せな場所だなと思いました」と言う。

 指揮官は今大会を振り返り「大社の歴史が動いた瞬間であるのは確か。全員の力。今後100年に対してのスタートだと思います」と語った。ベンチ入り選手全員が島根県内の中学校から集った公立校が、強豪私学を甲子園で打ち破る快進撃。間違いなく、ファンの記憶に刻まれた戦いぶりだった。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス