「全国高校野球選手権・準々決勝、神村学園８－２大社」（１９日、甲子園球場）

　神村学園が旋風を巻き起こした大社を終盤に突き放し、２年連続の４強進出。大応援団をバックに勢いに乗る相手に流れを渡さなかったのが、二塁を守った増田有紀内野手だ。

　最大のピンチはミスで同点に追いつかれ、なおも無死二、三塁と勝ち越し機までも与えてしまった四回。ここで増田は高橋翔が放った一、二塁間へのゴロを捕球すると、体勢をすぐさま立て直して本塁へストライク送球。間一髪でアウトにしてみせた。

　さらに続く藤江の打球も二塁・増田の前へ。勢いは弱かったが、強烈なスピードでチャージをかけて捕球すると素早くホームへ送球。再びタッチアウトにした。

　神村学園は勝ち越しを許さず、相手に傾きそうな流れを食い止めた。直後に勝ち越しに成功すると、七回には一挙４得点で粘る大社を突き放した。増田は九回にも二塁ベースの遊撃側へ転がったゴロを横っ跳びでキャッチ。このプレーに思わず高校野球ファンも「守備範囲広すぎ」「そこショートですよ」「増田君すげーな」とうなった。

　小田監督は「相手はものすごい応援だった。ただ甲子園には魔物がいると言われるが、それは圧力がかかると自分で作り出すものだと思っている。自分を応援してくれているという想定でやった」と明かし、大社の大応援団を力に変えてプレーするよう選手たちにさとしていた。“魔物”が襲ってくる前にしっかりと堅守で封じ込んだ神村学園。強力打線が注目されがちだが、スポットが当てられるべき増田のプレーだった。