京都国際 初優勝!府勢68年ぶり夏制覇 史上初タイブレーク制した 藤本主将「全部報われた瞬間だったなと思います」

 「全国高校野球選手権大会・決勝、京都国際2-1関東第一」(23日、甲子園球場)

 決勝が行われ、京都国際が関東第一(東東京)に延長十回タイブレークの末、2-1で勝ち、春夏通じて初の甲子園優勝を果たした。史上初となった甲子園決勝でのタイブレークを制し、京都勢としては1956年の平安(現龍谷大平安)以来68年ぶりの夏制覇。韓国系学校としての苦難を乗り越え、甲子園100周年の節目で頂点に立った。関東第一は9度目の出場で初めて決勝に進んだが、悲願達成とはならなかった。

 甲子園100周年のマウンドに京都国際ナインの歓喜の輪ができた。三塁側アルプススタンドから大歓声が巻き起こる。笑顔と涙で聖地が彩られた。「全部報われた瞬間だったなと思います」。主将・藤本陽毅内野手(3年)は目を真っ赤にして頂の味をかみしめた。

 両軍無得点で甲子園史上初となる決勝でのタイブレークに突入。延長十回、押し出し四球と犠飛で2点を先制し、その裏に1点差に迫られるも最後は2番手・西村が2死満塁の一打サヨナラのピンチで空振り三振を奪い、死闘を締めくくった。

 苦難を乗り越えた球児が歴史を塗り替えた。韓国系学校をルーツとし、学校の活性化のために1999年に野球部を創部。当初は打ったら三塁に走る選手もいたといい、練習試合もできないほど小さいグラウンドは今も変わらない。その中で、2008年に小牧憲継監督(41)が就任。自主性を重視し、個性を伸ばす指導法から阪神・中川など数多くのプロ野球選手も誕生し、いつしか中学球児らが憧れる野球部となった。

 藤本もその一人で、現オリックス・上野の守備に魅せられて福岡から入学を決意。「プロも目指せるし、指導方針も好きだったので行こうと思った」。自身でFAXを送って売り込み、グレーのユニホームの袖を通した。昨秋は発症したウイルス性肝炎で入院した時期も乗り越え、初戦敗退に終わった今春センバツ後から主将に就任。22時30分まで許される自主練習でも藤本は最後まで汗を流し、その背中を見てナインは目の色を変えた。「彼(藤本)の一通のFAXから始まった」と指揮官。偉大なOBたちがつないだ伝統が実を結んだ。

 今大会中も、勝ち上がる度に世間の注目を集めた韓国語の校歌。SNSを中心に心ない言葉が飛び交っているのも選手は知っていた。「いろいろ言われることもあって自分も大丈夫かなって正直思うこともある。批判されることに関してはしょうがないと思っている」と主将は入学して初めて“逆風”にさらされていることを実感した。ただ野球がうまくなりたい。高い志を掲げた選手が集結し、創部から25年の時を経て全国制覇を遂げた。

 スタメン9人の平均身長は約172センチ、体重約70キロ。体格に恵まれたチームでなくとも、組織力で強豪を撃破した。「束になってやるのが僕たちの野球」と主将。新基準バット導入など高校球界に改革が起きた聖地100年。堅守、小技を光らせた京都国際ナインが68年ぶりに京都に深紅の大優勝旗をもたらした。

 ◆京都勢の決勝連敗ストップ 京都勢では1915年の第1回大会で京都二中が優勝したが、近年の決勝では81年の京都商(現京都先端科学大付)から2005年の京都外大西まで4連敗。京都国際が連敗を阻止し、56年の平安(現龍谷大平安)以来の優勝。

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