関東第一・坂本慎太郎 涙の銀 亡き母に「金メダルを見せたかった」
「全国高校野球選手権大会・決勝、京都国際2-1関東第一」(23日、甲子園球場)
銀色の準優勝メダルが胸元できらきらと輝いていた。しかし、坂本慎太郎外野手(2年)は「お母さんに金メダルを見せたかった」と何度も涙をぬぐった。延長十回、2死満塁で空振り三振。「自分が打っていれば勝てたかも」と唇をかんだ。
小4の時、母・雪子さんを55歳の若さで亡くした。野球チームの送迎待ちの車内で体調を崩し救急搬送。「眠っているのかと思ったら、体調が悪くなったと聞いて。兄が救急車を呼んだが間に合わなかった」。消防士が心臓マッサージをする動きに合わせて車が大きく揺れていた光景は、今も鮮明に覚えている。
泣き虫だった坂本に「つらいことがあっても泣かないで。何事もあきらめないで」と優しく諭してくれた母。「ここまで来られたのも母のおかげだし、家族がここまで成長させてくれた」と立派に育った姿を聖地で見せた。秋からは投手として新チームを引っ張る覚悟だ。「二刀流を目指しているので、大谷翔平選手(ドジャース)のように投手も野手もできるようになりたい」。来年こそ母に金メダルを見せる。
◆坂本 慎太郎(さかもと・しんたろう)2007年5月1日生まれ。17歳。千葉県出身。170センチ、65キロ。左投げ左打ち。外野手。小4から松戸柏リトルリーグで野球を始め、野田市立第一中時代は取手リトルシニアでジャイアンツカップ優勝。関東第一では1年春からベンチ入り。