ヤクルト・吉村 プロ初完封 母から贈られた1冊の本で覚醒 75日ぶり6勝目

 プロ初完封に笑顔でガッツポーズをする吉村(撮影・中田匡峻)
 母・身知子さんから贈られた著書を手にする吉村
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 「巨人0-3ヤクルト」(4日、京セラドーム)

 控えめに喜ぶ姿が、ヤクルト・吉村貢司郎投手らしかった。「ありがとう」。プロ初完封の余韻に浸る前に、集まってきた仲間に感謝した。6月21日以来、実に75日ぶりの6勝目。長いトンネルの先に光がある。マウンドから見る“最後の景色”を目に焼き付けた。

 「悔しい思いもしましたし、いろいろ悩んだ時期もありましたけど。素直にうれしいです」

 序盤から力強い速球で巨人打線をねじ伏せていった。自己最速タイとなる154キロを2度計測。八回、伊藤投手コーチから「完封してこい」と声をかけられると、九回2死一、二塁のピンチで最後は泉口を遊ゴロに打ち取って試合を締めた。

 2カ月以上もの期間、白星に恵まれない日々が続いた。そんな8月中旬。母・身知子さんから1冊の本が届いた。タイトルの「負けない技術」を見つめ、吉村は「勝てってことだ」と笑った。読書をする習慣はないが、1枚、1枚ページをめくる。「負けないことは、勝つよりも難しい。人は誰しも無敗になれる」。エールがうれしかった。

 投げ抜いた最後の125球目のウイニングボールは両親に渡される。自信になった6勝目。吉村が拳を強く握った。

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