巨人期待の19歳 浅野翔吾は何が変わったのか 阿部監督が我慢強く起用したくなるワケ 内田順三氏の視点
4年ぶりのリーグ優勝を狙う巨人で、高卒2年目、19歳の浅野翔吾外野手が存在感を発揮している。8月は打率・348と活躍。起爆剤としてチームを首位に押し上げ、16日の中日戦では5番にも起用された。成長を遂げた要因はどこにあるのか。打撃の名伯楽、内田順三氏(デイリースポーツ・ウェブ評論家)が解説する。
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昨年ロッテでコーチをしていた時に見ていたが、身長は決して大きくない。ただ、圧縮されたような肉体で身長180センチ以上の筋力があるんじゃないか。
打席での姿勢はハートの強さを感じさせ、攻撃的で受け身にならない。昨年、今年の開幕当初はスピードや変化球に対応できずバタバタしていたが、8月に2軍で4割超の打率を残して上がってきた。そのまま1軍でも結果を残し、チームの起爆剤になった。
技術的に変化を感じるのは、前より変化球も振れるようになったこと。スタンスを広く丹田を落として構え、より土台がしっかりした。以前は上体だけで打っていたのが、空振りでもスイングが鋭い。まだ低めの変化球に手が出ることはあるが、気持ちの余裕を感じさせ、全部打とうというような雰囲気でもなくなった。阪神・森下のように、振れる状態を作れるようになったね。
9月に入って少し状態が落ちたが、その要因は前足の踏み込みが浅く開くためにポイント、スイングのズレを引き起こしているように感じた。もともとオープン気味にステップするけど、8月に上がってきた頃は左腰はしっかり投手に向かっていた。
ゲームに慣れるといろいろと能力を使おうとするのも必要なんだけど、うまく打撃するのではなく、2ストライク勝負でいくくらいに積極的な気持ちが必要だね。前の壁が崩れないことで、スイングもスムーズに、強弱のメリハリや力感も出てくる。
1軍で活躍するには実力はもちろん必要だけど、半分以上はメンタル、運もある。浅野はハートの強さも感じるし、ドラフト1位で打撃の内容もフロックとは感じさせない。少し状態が落ちた9月、阿部監督が我慢して起用しているのはそうしたところだろうね。攻撃的かつ積極的なプレーヤーを好むだろうし、浅野には何か持っているものを感じていると思う。
岡本やヤクルト・村上のようなタイプとは異なるが、足もあって将来的には3割を打てる選手。今は優勝争いの緊張感の中でやっているが、この経験は主軸になっていく上で大きな糧になると思うよ。