巨人のV奪回を陰で支えた桑田2軍監督の献身 ブレない信念「“供給”と“調整”と“育成”」&阿部監督とのホットライン
「広島1-8巨人」(28日、マツダスタジアム)
セ・リーグは28日、優勝へのマジックナンバーを「1」としていた巨人が広島に勝利し、2020年以来、4年ぶり39度目の優勝を決めた。1リーグ時代の9度を含めると48度目。就任1年目の阿部慎之助監督(45)は2年連続でBクラスに沈んだチームを立て直し、阪神との終盤のデッドヒートを制した。日本シリーズ進出を目指し、10月16日からは東京ドームでCSファイナルステージに臨む。
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V奪回を成し遂げた巨人を陰ながら支えた男がいる。桑田真澄2軍監督(56)。決してブレない信念がある。3つの柱が「1軍への“供給”と1軍選手の“調整”と“育成”」。供給は用意周到な準備を行った。
毎週、信頼を寄せるコーチ陣と議論を交わした。先発とリリーフで右腕と左腕、内野手と外野手のポジションごとに右、左打者をピックアップ。「今週、状態がいいのはどの選手かを毎週、コーチと相談しながら決めてます。いつでも推薦できるように常に意識していた」と説明する。
阿部監督、駒田3軍監督を含めた3人の監督は月に一度、会議をして1軍とファームの連携を強めており、“ホットライン”がある。チームには2軍の成績や数字だけで昇格を決めないという方針があった。例えば2軍戦で野手が打っても内容が悪ければ2軍が推薦することはなかった。1軍の需要に応えるために最善の手を尽くした。
現役時代はエースを担った名投手。捕手の阿部監督とバッテリーも組み考え方は理解している。選手が昇格した際の1軍での起用法もイメージして2軍の試合で采配を振るった。「1軍ではどういうサインが出るのか。この選手がこのケースだったらバントかな。打たすかなとか」。選手が1軍で力を発揮するために献身的に行動した。
投手陣を計画的に起用した。「リリーフなら今週は週2回、今週は連投、今週は複数イニング投げますよ。投げたら1日、2日空きます。事前に決めた。空いた時間はコンディショニングを整えることと課題に向き合う時間に使ってくれと」。自身のポリシーである自主性や独自性も求め、万全の態勢を整え、優勝の要因となった強力な投手陣をバックアップした。
供給と育成の象徴は浅野だろう。2軍で打撃不振に陥ると19歳の野球脳も鍛えた。「カウントを勉強していこうかって」。ボール先行のカウントになれば「甘い球が来る確率が高くなる」。選球眼を磨き、投手心理を伝授したことで打撃の調子も上がった。8月に左手首骨折で離脱したヘルナンデスに代わって再昇格すると、1軍の貴重な戦力となった。
百戦錬磨の経験と頭脳を駆使した桑田2軍監督。巨人軍にとって不可欠な存在だ。