「広島１－８巨人」（２８日、マツダスタジアム）

　セ・リーグは２８日、優勝へのマジックナンバーを「１」としていた巨人が広島に勝利し、２０２０年以来、４年ぶり３９度目の優勝を決めた。１リーグ時代の９度を含めると４８度目。就任１年目の阿部慎之助監督（４５）は２年連続でＢクラスに沈んだチームを立て直し、阪神との終盤のデッドヒートを制した。日本シリーズ進出を目指し、１０月１６日からは東京ドームでＣＳファイナルステージに臨む。

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　第２０代の新監督は伝統の継承と、革新を託されて重責に就いた。２月。キャンプインに合わせて選手、コーチ陣だけではなく裏方スタッフら、巨人軍を支える全員に冊子が配られた。「ＭＡＮＡＧＥＲ′Ｓ　ＰＯＬＩＣＹ」。野球論や監督方針を記した手のひらサイズのノートだ。

　キッカケは中大出身で、全国にゴルフ場を展開する企業「太平洋クラブ」の韓俊社長と食事をした際、社員に理念を記した冊子を渡した話に感銘を受けた。数字だけで昇降格を決めない、自己犠牲の重要性…など１０項目。「強いジャイアンツを継承していくことは、ジャイアンツの選手の使命」。強い信念があった。

　球団創設９０周年の節目。創設した正力松太郎氏の遺訓「巨人軍は常に紳士たれ」はあまりに有名だが、その前には「巨人軍は常に強くあれ」とある。勝つことで時代を切り拓（ひら）き、勝つことでファンに夢と希望と届けてきた。「ただ勝つだけじゃダメなんだ。次の世代の選手も入れて勝たないと、今後のジャイアンツに生きない」。アベの…いや、巨人軍の考えを伝えながら、若い選手を育て、勝った。個人軍ではなく、巨人軍でつかんだＶ奪回だ。（デイリースポーツ・田中政行）