ヤクルト・青木 有終マルチ「泣きますよ」涙々の引退試合 球史に刻んだ2730安打
「ヤクルト5-3広島」(2日、神宮球場)
ヤクルトの青木宣親外野手(42)が引退試合を行い、21年間のプロ野球人生に終止符を打った。1番・中堅で出場し、マルチ安打の活躍で有終の美を飾った。
涙なしではいられなかった。スタンドから飛んだ「泣かないで」の声に、青木はらしさ全開で本音で語りかける。「泣きますよ。泣くよ。21年も野球やったんすよ。泣きますよ」。思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る。感謝の2安打締めで、万感のラストダンスだ。
「プロとしての基盤を作った」場所で、ラストゲームは幕を開けた。「1番・中堅」で立った神宮の舞台。高津監督を含めた全員が背番号「23」を背負う。誰からも愛され、慕われてきた男のフィナーレを自らのバットでも快音で彩った。
まずは二回の第2打席だ。外角の球を華麗に流し打ち、左前へとはじき返す。サンタナの3ランで追加点のホームへも笑顔で生還。さらに六回の第4打席には右翼線への二塁打でスタンドは歓喜に満ちた。「自分が全力でプレーしている姿を、記憶に残るようなね、そんな試合にしたい」。日米通算2730安打で締め、守備でも中堅→左翼、最後はたくさんのファンの待つ右翼と全ポジションにも就いた。
毎年の誕生日には2人の子どもたちから手紙を送られる。「おめでとう」「頑張って」。一生懸命につづられた宝物は、自室に大切に飾られている。スポットライトを浴び、「『ナイスヒット』って言ってくれるのがうれしくて、パパは頑張りました。いつも応援ありがとう」と最後まで原動力だった子どもたちに最高の笑顔を見せた。
青木が残してきた多くの功績は財産になり、後輩たちの道しるべに変わる。最後にはこう、お願いした。「自分が愛したこの球団を、よろしくお願いします」。愛し、愛されてきた21年間。その姿に誇りを残し、惜しまれながらバットを置いた。
◆青木 宣親(あおき・のりちか)1982年1月5日生まれ、42歳。宮崎県出身。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。外野手。日向から早大を経て、2003年度ドラフト4巡目でヤクルト入団。首位打者3回、最多安打2回、盗塁王1回、最高出塁率2回、新人王、ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞7回。12年にポスティングシステムでブルワーズ移籍後、17年までMLB在籍。18年にヤクルトで日本球界復帰。06・09・17年WBC、08年北京五輪日本代表。