オリックス・岸田護新監督（４３）が１１日、大阪市此花区の球団施設で就任会見を行った。中嶋前監督が指摘した「慣れ」の払拭へ「もう一度一丸となって、同じ方向を向いて戦っていけたら」と決意。選手とも年齢の近い青年監督は首脳陣、選手間で意思疎通が取れる環境作りをしていく重要性を語り、２年ぶりのリーグ優勝へ尽力する覚悟を示した。

　グレーのスーツに身を包んだ岸田新監督は、額に流れる汗からも分かるくらい緊張の面持ちを浮かべていた。就任会見での所信表明。「オリックス一筋でやらせていただきまして、なんとかチームのために力になれたらなという思いで引き受けました」と、真っすぐな思いを言葉に乗せた。

　「慣れ」の払拭へ、改革が始まる。昨季までの３連覇チームが、今季は５位に低迷。最低限の約束としてきた全力疾走など凡事徹底ができず「（３連覇を経て）慣れが強く出てしまった」と中嶋前監督が話したことに触れた。

　「『慣れ』という部分は選手に限らず、中嶋さんに任せておけばなんとかなるという空気はあったのかなと。もう一度一丸となって、同じ方向を向いて戦っていけたら。そこがまず第一歩かな」

　テーマは意思疎通だ。岸田新監督は中嶋前監督が「選手同士で盛り上がっていける、同じ方向を向ける」大切さを語っていたことを明かし、「選手同士でもしっかり野球の話ができて。コーチにも意見ができる、いろんな意見ができる空気が必要」と提言した。

　新体制発足へ向け、岸田新監督はそういった部分のサポートに徹したい考えだ。「メリハリの利いた空気を全員で作っていかなければならないと感じています」。秋季練習、キャンプから選手たちの意識を変えていく。

　勝利と育成を追い求めるのが理想。来季、２年ぶりのＶ奪還を目指す戦いを見据えた。「モチベーションを高く、勝ちに向かって全員が行けるところを目指して頑張ります」。４３歳の青年監督が、再建に全力を注ぐ。

　◆岸田　護（きしだ・まもる）１９８１年５月１０日生まれ、４３歳。大阪府出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。履正社から東北福祉大、ＮＴＴ西日本を経て２００５年度大学・社会人ドラフト３巡目でオリックス入団。通算成績は４３２試合登板で４４勝３０敗６３Ｓ、防御率２・９９。１９年引退し翌年からオリックス投手コーチ。