DeNA“史上最大の下克上”7年ぶり日本S進出 目を潤ませ三浦監督「選手たちが気力を振り絞って戦ってくれました」 続投も決定

 「JERA CSセ・ファイナルS・第6戦、巨人2-3DeNA」(21日、東京ドーム)

 「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第6戦が行われ、3位から勝ち上がったDeNAがリーグ王者の巨人に逆転勝ちし、対戦成績4勝3敗として7年ぶり4度目(大洋、横浜時代を含む)の日本シリーズ進出を決めた。“史上最大の下克上”となる歴代最低のレギュラーシーズン勝率・507で出場権をつかんだ。ソフトバンクとの日本シリーズは26日に横浜スタジアムで開幕する。

 6試合の死闘を終えた三浦大輔監督の目は潤んでいた。「選手たちがいっぱいいっぱいのところ気力を振り絞って、本当に一生懸命戦ってくれました」。込み上げる感情を必死でこらえた。チームとしては17年以来7年ぶり、自身の政権下では初の日本シリーズ進出。覇者巨人をなぎ倒して下克上を実現させた。試合後、来季続投も決まった。

 3位からの挑戦だった。ポストシーズンを迎え、三浦監督がチーム全員に大きく掲げた言葉は「ミスは忘れろ」。短期決戦では失敗しても振り返っている時間はない。次の日には全て忘れてリセットし、目の前のプレー、試合にだけ集中する。ポジティブシンキングが身上の指揮官は、このマインドを徹底させた。だからこそ、ペナントレースで8勝16敗1分けと大きく負け越した巨人に対しても臆することなく立ち向かった。

 そのメンタルは大一番のこの日も生きた。五回無死一塁で突破口となる適時三塁打を放ったのは森敬だった。一回、自らの遊ゴロ悪送球で先制点を献上。重苦しい空気に包まれたが、失敗を切り替える三浦イズムでチームに勢いを再びもたらした。森敬は九回1死二塁の三ゴロの間に好走塁で三進。牧の適時打で決勝のホームを踏んだ。

 指揮官の現役時代の座右の銘は「打てるもんなら打ってみろ」。普段は穏やかな横顔の奥底に、強烈な反骨心が眠る。

 08年オフ、FA権を行使した三浦監督は、阪神からのオファーを断り残留を選択した。悩んだ末に“生涯横浜”を決断させたのは「強いところを倒して優勝したい」という思いからだった。「強いチームをやっつけたい。野球を始めたときからそうだった」。奈良・高田商時代はエースとして強豪・天理高に立ち向かった。その「原点」は、監督となった今でも自身の根幹としてあり続けている。2位・阪神、そして覇者・巨人をなぎ倒してつかんだ日本シリーズへの挑戦権。三浦野球の神髄が今、結実した。

 敬愛するミュージシャン・矢沢永吉の代名詞「成りあがり」にも相通ずる下克上。「もう一度、横浜スタジアムで試合ができますので、また熱いご声援よろしくお願いいたします!」と指揮官。いざ頂上決戦に挑む。

 ◆史上最大の下克上! DeNAは、日本シリーズ歴代出場球団史上、最低シーズン勝率での出場となる。DeNAの今季公式戦は71勝69敗3分けで勝率・507。これまでは1975年の阪急で勝率・520(64勝59敗7分け)だった。なお、この年のパ・リーグは前後期制で前期優勝の阪急と後期優勝の近鉄がプレーオフでリーグ優勝を争った。阪急の勝率・520は通年成績。なお、これまでのセ・リーグ球団は73年・巨人(66勝60敗4分け=シーズン1位)と14年・阪神(75勝68敗1分け=シーズン2位)で共に勝率・524だった。

 ◆下克上突破球団の日本一は… 2007年からのCSで3位からの突破は2010年・ロッテ、17年・DeNAに次いで3例目でDeNAは2度目。また、シーズン2、3位から日本シリーズ進出を決めた球団は過去に6例。そのうちの約66・7%の4例が日本一を飾っている。過去6例は以下の通り。【1】07年・中日=日本一(VS日本ハム)【2】10年・ロッテ=日本一(VS中日)【3】14年・阪神=敗退(VSソフトバンク)【4】17年・DeNA=敗退(VSソフトバンク)【5】18年・ソフトバンク=日本一(VS広島)【6】19年・ソフトバンク=日本一(VS巨人)。

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