ソフトバンク・和田が引退 最後のNPB松坂世代&ダイエー戦士 日米通算165勝「全てが思い出」

 「松坂世代」最後のプロ野球選手だったソフトバンクの和田毅投手(43)が5日、現役引退を発表した。切れのある速球で日米通算165勝をマークした43歳のサウスポーは、真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢を「お手本」とされたが、この5年ほどは左肩などの痛みに悩まされ、ユニホームを脱ぐ決断をした。

 涙はなく、すがすがしい表情で現役生活に幕を閉じた。思い出に満ちた本拠地で記者会見に臨んだ和田は「最近決めたわけではなく、7月ぐらいには自分の中で固まり、妻にも伝えていた」と明かした。

 1980年度生まれの「松坂世代」の最後の現役選手。2018年は左肩痛のため、1軍登板はなかった。「19年に復帰したけど、そこからの5年間はいつでも『何かあったらやめよう』と思って戦ってきた」。常に「引退」の2文字を意識してプレーを続けた。

 22年目の今季は自主トレ中のけがに始まり、左膝や腰のコンディション不良にも悩まされた。「選手としての役割を終える年だと感じるようになった。違う形で野球界やホークスに貢献するための勉強をしたい気持ちが高まった」と決断した。

 引退の決意はひた隠しにした。「優勝したチームの中に私情を挟んではいけない」。ポストシーズンを見据えて中継ぎにも挑戦したが、最後は左脚内転筋の肉離れで離脱。「体がボロボロになっていくと感じながら投げていた」と振り返った。

 今季中の引退試合は固辞し、来春のオープン戦での引退セレモニーなどを希望した。「引退は寂しいけど、選手として終わっただけ。これからの人生の方が大事だし、新たなスタートの日なので」。将来の指導者としての復帰も視野に入れている。

 ◆和田 毅(わだ・つよし)1981年2月21日生まれ、43歳。島根県出身。179センチ、81キロ。左投げ左打ち。投手。浜田から早大を経て、2002年度ドラフト自由獲得枠でダイエー(ソフトバンク)入団。03年に新人王、10年に最多勝を獲得し、MVPに選ばれた。11年オフにFAで米メジャーへ移籍。オリオールズとカブスでプレーし、16年ソフトバンク復帰。同年に最多勝と最高勝率。04年アテネ五輪、06年WBC日本代表。

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