佐々木朗希がメジャー挑戦 ロッテ容認 異例の高卒5年目23歳でポスティング 「25歳ルール」でマイナー契約から

 ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによる米大リーグ移籍へ向けた手続きを開始すると発表した。佐々木は1月の契約更改後の記者会見で将来的なメジャー挑戦の希望を明らかにしていた。最速165キロを誇る剛腕への関心は米国内でも高く、現地ではドジャースを有力視する報道が相次ぐなど、複数球団による争奪戦が予想される。

 憧れ続けてきた夢の世界へ。佐々木が23歳の若さで海を渡る。球団が右腕のポスティングシステムによる米大リーグ移籍へ向けた手続きを開始することを発表。目指し続けてきた大舞台で、さらなる高みを目指す。

 「一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆さまの期待に応えられるように、マイナー契約からはい上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」。球団を通じてコメントを発表し、固い決意をにじませた。

 異例の早さでの容認だった。プロ5年目を終え、まだ23歳。現行の大リーグの労使協定では25歳未満のドラフト対象外の海外選手とはマイナー契約しか結べない。だが、メジャーへの強い思いは揺るがない。プロ初の越年となった昨オフの契約更改後の会見で、「将来的にメジャーリーグでプレーしたい思いはある」と語った少年時代からの大きな夢がついに現実となる。

 「キャリアハイを目指さないといけない」と迎えた今季は18試合に登板し、プロ初の10勝をマーク。有言実行を果たした。10月1日・楽天戦では2年ぶりの完投勝利でCS進出を決めた。10月13日のCSファーストS・日本ハム戦では8回無失点の好投で勝負強さを見せつけた。

 しかし、1年間ローテーションを守り切ったことはまだなく、規定投球回も未到達。吉井監督も「2020年、石垣島キャンプのブルペンで初めて目にした彼の投球は私にとって野茂英雄を初めて見た時以来の衝撃でした。それを向こうでぜひ証明してほしい」とエールを送りつつ、「未完成な部分は正直、まだまだある」と指摘した。体力面での不安は残っている。

 それでもやるしかない。「こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。ロッテでの5年間はうまくいかなかったことも多かったですが、どんな時もチームメート、スタッフ、フロント、そしてファンの皆さまに支えられながら、野球だけに集中してここまで来ることができました」と右腕。感謝を胸に、華麗に羽ばたいてみせる。

 ◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年11月3日生まれ、23歳。岩手県出身。192センチ、92キロ。右投げ右打ち。投手。大船渡一中では軟式野球部に所属。大船渡高から19年度ドラフト1位でロッテ入団。プロ2年目の21年5月16日・西武戦(ゾゾ)で初登板初先発。22年4月10日・オリックス戦(ゾゾ)で史上最年少20歳5カ月で完全試合を達成した。。

 ◆ポスティングシステム NPBから海外FA権を取得する前に米大リーグに移籍する制度。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動する。マイナー契約での譲渡金は契約金の25%。メジャー契約の場合、保証額のうち2500万ドルまでの部分の20%、2500万ドルを超えて5000万ドルまでの部分の17.5%、5000万ドルを超えた額の15%の合計となる。契約期間内に獲得した出来高払いの額からは15%が追加で支払われる。

 ◆25歳ルール 2016年にMLBと大リーグ選手会が結んだ労使協定。25歳未満かプロ6年目未満の海外選手との契約では契約金、年俸込みで年間最大700万ドル(約10億6800万円)程度に制限され、マイナー契約からスタート。当然、送り出す球団への譲渡金も低額となる。17年オフにプロ5年目、23歳でエンゼルスと契約した大谷はマイナー契約のため、1年目にメジャー昇格後も年俸は当時の最低保障額となる約6100万円だった

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