イチロー氏が母校・愛工大名電をサプライズ訪問 後輩たちに“愛のゲキ”「バッティンググローブ来たでしょ?回収です」
米大リーグ・マリナーズなどで活躍したイチロー氏(51)=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が18日に、母校である愛工大名電の野球部をサプライズで訪れた。今年の大阪・大冠、岐阜を合わせ5年連続で通算10校の高校に指導を行ってきたが、今回は意味合いが違い、OBとしての訪問。後輩たちに“愛のゲキ”を飛ばした。
「スペシャルゲスト」としか知らされていなかった3年生含む45人の部員たちは、イチロー氏がグラウンドに姿を現すと驚きの声を上げながら拍手。だが、イチロー氏は「拍手いらないから」と照れ笑いしつつ、いきなり厳しい言葉を送った。
「3年生は(寄贈の)バッティンググローブ来たでしょ?回収です。1回戦負けと一緒でしょ。愛工大名電にとっては」
今夏、今秋ともに16強で敗退した後輩たちに冗談交じりながら辛口の激励。自身は2年夏、3年春に甲子園出場を果たしたレジェンドが、愛工大名電へ指導で訪れるのは初めてのことだ。伝えたかったことがある。
「練習前に寮や施設などを見学させてもらいました。で、この成績はないでしょ。気になったのはデータで見えてないことを大事にしているか。データでがんじがらめになって、感性が消えていくのが現代の野球。この施設は、それと同じような考え方になっている」
“イチ流の感性”を伝える約3時間半だった。まずは走塁を実演。選手たちからは「速っ!!軽っ!!」と驚きの声が上がった。「股関節を使って組み立てる」など考えを伝授。キャッチボールではソフトバンクのドラフト5位指名・石見颯真内野手(18)とペアを組むなどし、終盤のフリー打撃は両翼100メートルの球場で柵越えも披露した。
練習後のミーティングでは愛ある言葉も送った。「長い間来ていないから怖さの方があったんだけど、みんなと一緒に練習して、やっぱり野球が好きな高校生(だと感じた)。また来るかもしれません、母校ですから」。清水隆太主将(17)は「遠い存在でしたが、同じ高校でやってきたんだなというのを感じました」と感激。厳しくも母校愛あふれる金言の数々が後輩たちの心に刻まれた。