広島商 神宮初V王手 エース大宗10回184球熱投 疲労は「勝った瞬間に抜けました」

 「明治神宮野球大会・高校の部・準決勝、広島商11-9敦賀気比」(23日、神宮球場)

 高校の部2試合、大学の部1試合が行われ、初出場の広島商が延長11回タイブレークの末11-9で敦賀気比を破って決勝進出を果たした。エースの大宗和響投手(2年)が10回11安打8失点ながらも球数184球の熱投を披露し、県勢初Vに王手をかけた。横浜は東洋大姫路に延長11回タイブレークの末3-1で勝利。高校の部の決勝は25日に行われる。大学の部では環太平洋大が早大を延長十回タイブレークの末2-1で下して4強入りした。

 創部125年の伝統校が意地で勝利をもぎとった。3時間16分の死闘を制した広島商ナイン。決着の時、エース・大宗は思わず笑みをこぼした。

 「自分が降板して疲れがどっと出たんですけど、勝った瞬間に抜けました」。自己最多となる184球の熱投だった。七回まで0を重ねるも5点リードの八回に左翼手の失策が絡んで3失点。2点リードの九回2死二、三塁では遊撃手の一塁送球がそれる間に追いつかれた。勝利目前での味方の失策にも「気にしなかった」とマウンドで奮闘。10回11安打8失点(自責2)ながらも気迫の投球で勝機をもたらした。

 延長タイブレーク十一回。無死一、二塁から大宗が犠打を決めきれずに空振り三振し、一気に劣勢となった。それでも1番・小田の右前適時打などで再び3点勝ち越し。野手の失策は大宗がカバーし、大宗のミスは野手が帳消しにした。創部125年の公立校が一丸で勝利をつかんだ。

 決勝の相手は横浜で、元広島・達川光男を擁して敗れた1973年のセンバツ決勝と同カードとなる。大宗を十回まで続投させた理由について、荒谷忠勝監督(48)は「まだ新チームが始まって3カ月。成長させないといけない」と話した。春夏通算7度の甲子園Vを誇る広島商が見据えるのは夏の全国制覇。秋を制して復権の糧とする。

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