西武伝説の名将 森祇晶氏がNHK「球辞苑」に登場!87歳の今でも語り口鋭く 野村監督との日本Sを回顧 守備固めが生んだ秘話

 NHKBS「球辞苑」が15日、放送され、現役時代は巨人の捕手として活躍し、西武の監督としてリーグ優勝8回、日本一6回と黄金時代を築いた森祇晶氏がVTRで出演。87歳になった現在でもしっかりした語り口で持論を展開した。

 「守備固め」をテーマに現役選手やOBたちが技術論や考え方を披露していく中、ナイツ塙が「続いては名将のおでましです」と紹介し、番組終盤にVTRで登場。ハワイ在住のイメージが強かったが現在は福岡県内で生活しており、「寒いのには往生しています」と近況を明かした。

 その上で「守備固めに定義はない。本当に難しいですよ」と明かした名将。西武を率いていた際は「内野は守備固めが必要なかった。清原がいて、辻がいて、石毛がいて、田辺がいて。外野も秋山がいて、平野がいて。ちょっとレフトが弱かったので、足が速い笘篠を置いていた」と振り返った。その中で記憶に残っていたのは1992年、野村ヤクルトと戦った日本シリーズだ。

 第7戦の延長までもつれ、名勝負として語り継がれてきたシリーズ。森氏は「第2戦で六回裏に笘篠を守備固めで入れた。六回で早いなと思われるかもしれない。でもデストラーデの1打席をとるか、3イニングの守りをとるか。この2点を守り切らないといけない。チームにも監督、勝負に出たなと思わせられる」と説明した。

 最終的に西武が2点のリードを守り切って敵地でシリーズ初勝利をあげた。さらに第7戦では野村監督とこんな後日談もあったという。同点の九回に森氏は三塁の清原に代えて、守備固めに遊撃・奈良原を入れ、石毛を三塁に回した。そして延長十回、1死三塁から秋山の犠牲フライで勝ち越し点を奪ったが、次打者が清原ではなく奈良原だったことで「なんで勝負したのか?」と疑問が消えず、野村監督に直接聞いたことがあったという。

 すると「奈良原は足が速いし、おまえのことだから何をしてくるかわからんと言われて」と返されたという。秋山との勝負を避けて1死一、三塁になれば、ヒットエンドラン、セーフティースクイズなどさまざまな戦術をとることができる。そこを野村監督が嫌い、秋山勝負を選択した結果、決勝の犠牲フライが生まれたという。

 名将同士の手の打ち合いが最終的に勝敗を分けたゲーム。さらに森氏は守備固めで気遣うことについて「出ていた選手が傷つかないように気配りをしないといけない。僕が直接話すこともあるし、勝利は全体でとっていくもんだと」と説明していたことも明かした。

 守備固めの重要性について「接戦の中で少しのほころびが相手に攻撃する機会を与えてしまう。指揮官がどこで踏ん切りをつけるか」と語り、「勝利に近づく手段。結局、読み方だよね。一番分かりやすく説明すると、今年のワールドシリーズでヤンキースが5点リードしていて一つのミスからひっくり返された。ジャッジも下手な選手じゃ無いし、どうしようもないだろうな」とまとめ、訴えた守備の大切さには確かな説得力があった。

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