巨人 田中将大の獲得の裏にあった阿部監督の強い要望
楽天を退団し、巨人入りが決まった田中将大投手(36)が25日、東京都内で入団記者会見に臨んだ。残り3勝の日米通算200勝達成への思いを明かし、「まだまだできるんだという証明をしたい」と言葉に決意を込めた。年俸1億6000万円+出来高の1年契約(金額は推定)、背番号は「11」に決まった。
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球団旗を背に壇上に立った田中将は、柔和な笑みを浮かべながら決意を語った。「子供の頃からファンだった。まだできると証明したい」。阿部慎之助監督(45)、吉村禎章本部長(61)も同席し、晴れやかに進む入団会見。日米通算197勝右腕に有形無形の実績、経験の還元を期待した。
球団は当初、獲得に消極的な姿勢だった。楽天を自由契約になると発表されたのは11月24日。既に海外FA権を行使した菅野智之投手(35)の移籍は確実だったが、この時点では石川柊太投手(32)の獲得に動いていた。まずロッテ移籍が決まったことで、180度の方針転換が動き出した。
電撃加入の背景には指揮官の強い要望がある。現役時代には08年の北京五輪、09、13年のWBCでは侍ジャパンでともに戦った間柄。「その印象しかない」と最大の要因に挙げたのが、13年の日本シリーズで対戦した姿だ。第2、6戦に先発すると第7戦には3点リードの九回に救援登板。球団史上初となった日本一の胴上げ投手になった。
「チームが勝つために、己を犠牲にしてでも登板した。熱い気持ちを持っている投手。これから先もジャイアンツは続いていく。継承してってもらいたいがために、獲得に乗り出していただくようにお願いしました」
監督就任当初から掲げてきたのは、自己犠牲の精神と常勝軍団の再建。その存在が阿部野球に合致した。同時に指揮官らしい言葉で背中を押した。「いろいろうだうだ言われてますけどね。できると信じてあげるしかできない。2桁勝って、一緒に日本一になることしか考えていません」。スポーツには筋書きのないドラマがある。マー君復活-がリーグ連覇、悲願となる日本一のカギを握る。(デイリースポーツ巨人担当・田中政行)