ソフトバンクから国内フリーエージェント（ＦＡ）権を行使し、巨人に移籍した甲斐拓也捕手（３２）が２６日、都内のホテルで入団会見を開いた。５年、年俸総額１５億円の超大型契約。阿部慎之助監督（４５）も同席する中、背番号「１０」継承で「監督を胴上げしたい」と所信表明した。球団としてリーグ連覇、悲願の日本一を達成すべく４年ぶりにＦＡ選手を獲得。常勝チームの頭脳を担う。（金額は推定）

　球団カラーのネクタイを締め、甲斐は並々ならぬ覚悟を語った。野球人生の岐路に立ち「もう一度、ここからがスタート」と新天地で再出発を決断。大分の野球少年だった少年時代、テレビに映る阿部捕手に未来を重ねた。「１０番を背負うのは甲斐君しかいない」。ラブコールが胸に響いた。

　「決め手は間違いなく阿部監督。僕が小学生の頃、捕手道具をつけて試合に出る姿がカッコよかった。その方から直接、話をいただけたのはとてもうれしいことでした」

　壇上で横に座る指揮官が「小学生ですか。年を取ったな…と思います」と笑わせる。ＦＡ権行使から１カ月以上に及んだ熟考期間。５日、監督自ら福岡で直接交渉の席に着いた。「グラウンド上では捕手が監督。思いを受け継いでほしい」。ストレートな言葉を受け止めた甲斐は「熱い言葉をいただいた。ものすごくうれしいし、重くのしかかる言葉」と感謝した。

　小林に選手会長の大城卓、自己最多８８試合に出場した岸田や、若手では山瀬らも控える。豊富な捕手人員の中、なぜ甲斐が必要か。阿部監督は「表情だけで投手と会話できる。もっと言うなら包容力」とした。その上で相乗効果、波及効果を期待。「ウチは素晴らしい捕手がそろっていて知恵を出し合える。それがチームにとって素晴らしい強みになる」と胸を張る。

　５年推定総額１５億円の超大型契約は最大限の期待を表す誠意。甲斐も「勝たないといけない、勝ち続けないといけないチームだ」と前を向く。今季１５勝の菅野がメジャーに移籍。代役として先発で田中将を、抑えでマルティネスを獲得した。現有戦力を含め、正捕手がチーム浮沈のカギを握る。「勝つことが一番。阿部監督を胴上げするために頑張っていく」と甲斐。背番号１０の系譜で常勝軍団を築く。