ロッテ・アジャ井上 引退決めた若手の存在「彼が教えてくれた」 立場を替えて悲願の“初優勝”目指す
今季限りでピンストライプのユニホームを脱いだロッテ・井上晴哉内野手(35)が現役引退への思いを語った。今季はプロ入り後初めて1軍出場なし。現役を退く決め手となったのは、若手との差を痛感させられた4年目・山本の活躍だった。今後は職員として球団に残り、立場を替えて悲願の“初優勝”を目指す。
ロッテの“アジャ”がピンストライプのユニホームを脱いだ。井上は「楽しい思い出を取れば、また野球をやりたいと思う。でも、ここまでだとも思う。入り交じった感情の中で決断をするのは、勇気もいりました」と振り返った。
今季は入団後、初めて1軍出場がなかった。ファームで長い時間を過ごす中で「一緒にやっている後輩を見て、自分にないものを持っているなと。自分も昔はそうだったのかなと。今年1年はそういうふうに考えていた」。体の回転やスピード、飛ばす力。若手の成長に感心する半面、自身の頭には引退がよぎった。
引退をより意識させたのは、今季、イースタンリーグで最多本塁打&最多打点に輝いたプロ4年目・山本の存在だった。圧倒的な数字を残す山本に対し「成長も感じたし、確実に自分のものにしていた。本当は(自分も)ああいうふうに打たないといけない。彼が教えてくれた」。知らぬ間に開いていた若手との差を痛感させられたという。
18、19年には24本塁打を放ち、ライバルは助っ人だった。主砲としてチームを引っ張った時もあった。しかし、今季は「思うように結果が出ない中で、若い子にはバットを振ったら負けないと思っていたけど、どうやっても抵抗できない敗北感を感じた。そこが決め手」。シーズンが終わり、自分の中で腹をくくって両親へ報告。「『よくやったんじゃない』と言ってくれた」と、ねぎらいの言葉をもらった。
古巣支える
第二の人生は再びマリーンズでスタートする。詳しい職種は明かされていないが、「マリーンズを支えるポジション。見えないところですね。やりたいことはいっぱいある。そのうちのひとつ」と話した。ユニホームからスーツに着替え、野球に携わり続ける。
選手ではなくなっても、目標は変わらない。「結局、僕は優勝していない。それだけが悔しいから、ただマリーンズが強くなってくれればそれで良い。いろんな角度から支えたい。どの場所においても日本一に関わりたい」。縁の下の力持ちとして悲願の“初優勝”を達成する。
◆井上 晴哉(いのうえ・せいや)1989年7月3日生まれ、35歳。広島県出身。現役時代は右投げ右打ちの内野手。崇徳から中大、日本生命を経て13年度ドラフト5位でロッテ入団。新人だった14年は開幕戦だった3月28日・ソフトバンク戦でスタメン4番。18年から2年連続20本塁打。NPB通算601試合で打率・250、486安打、76本塁打、313打点。