元選手会会長・古田敦也氏が激白 プロ野球再編問題 球団社長の「野球に未来はない」放言も

 ヤクルト一筋で通算2000安打を記録、監督も務めた野球評論家の古田敦也氏が、球界の歴史的転換点となった2004年の「プロ野球再編問題」を、当時の選手会長という立場から振り返った。YouTubeチャンネル「SHOVEL SPORTS」で長編のインタビュー動画が公開。オリックスと近鉄の球団合併案に端を発して、球団数を12から8に減らして1リーグ制を敷く「再編プラン」が浮上した、20年前当時の心境を明かした。

 労働組合としての側面を持つ選手会のトップとして、まずは球団数が減ることによる「雇用機会の減少」に抗議する必要があった。ただ、一方で「それよりもやっぱり、プロ野球がどのようなビジョンを持ってこれから進んでいくつもりなのか、というところは問いたかった」と強調する。

 古田氏 球団数を減らすというのは、大きな意味でのスポーツエンターテインメントで、楽しみに思ってくださる方がたくさんいる。最初につくられた協約にも、公共財であると書かれている。そうした前提の中で、親会社の都合だけで球団を減らす、コンテンツを減らすというのは、よっぽどの理由、もしくはよっぽどの説明がない限り、納得は得られない。でも、オーナー側はそれを強行するというので、それはやめたほうがいいんじゃないですかというのが私たちのスタンスでした。

 「サッカーが来るから野球に未来はない、ダメな産業なんだ」と平気で口走る球団社長もいたというが、古田氏は「まだまだチャンスはある」と考えていた。

 古田氏 プロ野球は成り立ちとして、その時その時に力がある企業が、その街を盛り上げようと球団を持つ、というのがあった。だから、また新しく、元気のある企業が持てばいいじゃないか、というような感覚を持っていました。

 結果としてはまさに古田氏が思い描いた通りで、大きな力を持ち始めていたIT大手の楽天やソフトバンクが参入し、12球団2リーグ制は保持された。「実は早い段階からそうした見通しは立っていたのでは」という見方もあるが、古田氏は「僕はプロ野球は危機だと思っていました」と言う。

 古田氏 (いずれにしても)ファンに説明もなしに突き進めようとしていた。それはまずいんじゃないですか、ということで話はしていました。

 12球団の形が保たれた以上に、ファンの理解、説明を重んじる機運が生まれたという点でも、プロ野球再編問題は球界の大きな転機になった。実力と知性、人脈を兼ね備えた古田氏が当時の選手会長だったことは間違いなく大きかったが、当の本人は「特に運命的とも思いません。そういう立場だったので、事に当たらせていただいた」と冷静に振り返った。

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