阪神を倒した中日が上位に浮上するには「もうワンランク上の野球をする必要がある」 評論家が分析
「中日4-1阪神」(29日、バンテリンドーム)
中日が難敵の阪神・才木を攻略した。二回の細川の先制ソロ、五回の板山、上林の連続適時打は、いずれも直球を捉えたものだった。阪神、広島などでコーチを務めた岡義朗氏は、ベンチを含めた中日打線の準備を評価した一方、上位浮上に向けては「もうワンランク上の野球をする必要がある」と解説した。
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中日は阪神・才木の武器である直球に対する準備がしっかりできていた。初球を捉えた二回の細川の先制ソロはど真ん中の直球ではあったが、球速は153キロ出ていた。直球に対する準備がしっかりできていた証拠だ。
五回2死一、二塁から、右翼線への勝ち越し適時二塁打を放った板山、中前への適時打を放った上林も直球を見事に捉えた。試合序盤から中日打線は才木のもうひとつの武器であるフォークを捨てる割り切りをし、直球に対する準備を整えているように見えた。ベンチからの指示もあったはずで、次回対戦に向けて強烈なインパクトを与えたと思う。
9連戦初戦で大きな勝利をつかんだ一方で、今後、中日が上位に浮上するためには、もうワンランク上の野球をする必要があると感じた場面がある。
二回無死一塁で前川の打球は遊撃・土田の正面に飛んだが、土田の二塁・板山へのトスが中堅方向にそれた。捕球体勢が崩れ、併殺を奪うことができなかった。投手心理からすれば打球が飛んだコースで併殺を確信したはずで、結果的に無失点でしのいだが、2死無走者と1死一塁では状況は全く異なり、涌井に負担をかける形となった。
決勝点を奪った五回にも状況判断のまずさがあった。1死一、二塁で岡林の打球は右翼後方を襲ったが、この右飛で二塁走者の木下が三塁にタッチアップできなかった。2死一、三塁となれば、フォークを武器とする才木が暴投すれば1点入る可能性があり、内野安打でも1点が奪える状況になり、相手に無言のプレッシャーを与えることができた場面だった。
板山の適時打に救われる形となったが、数字や記録に表れないミスと言っていいだろう。打つことに絶対を求めるのは難しいが、守備や走塁にはある程度の精度の高さが求められる。





