引退の中田翔 意外なコレクター癖「オンリーワンの味わい、渋さがわかってきた」新しいもの命だったのに…

 中日の中田翔内野手(36)が15日、今季限りでの現役引退を表明した。名古屋市内で記者会見し「野球は宝物だった」と晴れやかな表情で語った。近年は腰痛に苦しみ、18年目の今季は25試合で打率・161、2本塁打、4打点と不振だった。強烈なキャラクターとともに、3度の打点王や通算309本塁打を放った打撃でもファンを魅了したスラッガーがバットを置いた。

  ◇  ◇

 ここ数年、中田がハマっているのがいわゆるビンテージの古着だ。ジーンズ、スエット、ジャンパー…。コレクター癖がある中田のもとには、あっという間にアイテムが増えていった。

 正直、意外だった。ルーキーのころから新しくてキレイなものが好きだったから。当時ガラケーも最新機種が出る度に機種を変えていた。使用期間が短すぎて「機種変」をできないときは元のを解約して、新たに契約を結び直すほど。そのたびに「番号変わりました」のメールが来ていたから、今でも電話帳には消していない過去の中田の携帯番号が少なくとも三つある。それくらい「新しいもの命」だった。

 それが、だ。目の前の中田は70年前のリーバイスのジーンズについて熱っぽく語っている。「これがええねん」と。どんな心境の変化だろう。

 「やっぱ年取ったんかな。携帯もそうだけど、若いときは車も新車、新車ってなっていたし、服も誰かが着たものなんて絶対に無理だった。時間とともに変化していく良さとか、オンリーワンの味わい、渋さがわかってきた。今から70年寝かせるっていっても生きてないし。それを今、味わえるありがたさよ」

 ピカピカの10代、ギラギラの20代を経て、たどり着いた今がある。色あせ、ほつれ、ダメージ。ビンテージは、そのどれもが味わいであり渋さになる。栄光も屈辱も山ほど味わってきた。人も年月を経たからこそ出せる立ち姿、そして風合いがある。引退会見では「もう一度野球を好きになりたい」と言っていた。最後にそのたたずまいを、打席で見たい。

 ◇中田 翔(なかた・しょう)1989年4月22日生まれ、36歳。広島県出身。184センチ、107キロ。大阪桐蔭から2007年高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。打点王を3度獲得するなど、リーグを代表する強打者となる。21年シーズン中に巨人へ移籍。24年からは中日でプレーしていた。通算309本塁打は今季の現役選手中2位、1087打点は同3位。

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