広島・前田健太投手（２４）が１９日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約交渉を行い、５０００万増の２億円提示に対し保留した。２時間のロング交渉となったが、２億３千万円前後とみられる希望額との差は埋まらず初保留。次回交渉は新婚旅行などで年内の交渉が不可能なため、球団では０６年オフの佐々岡以来となる越年が決まった。

　２時間のロング交渉も、判は押せなかった。前田健は「１人になって冷静になって考えたい。評価はしていただいたし、不満とかの気持ちが強いわけじゃない。整理して考える時間が欲しい」と険しい表情で語った。

　球団からは５０００万増の２億円が提示されたとみられる。エースの希望額は２億３千万円前後。上積みはあったもようだが差は埋まらず、６年目で初の保留となった。

　今季は２９試合に先発し、リーグ２位の１４勝（７敗）を挙げた。球団新記録の防御率１・５３は両リーグトップ。４月６日のＤｅＮＡ戦（横浜）では、史上７４人目のノーヒットノーランを達成。中５日、中４日でも先発するなどフル回転。１０年に投手タイトルを総なめし、沢村賞を獲得したが、評価は７２００万アップした２年前以上との自負があった。

　だが交渉相手の鈴木球団本部長の評価は違った。「一昨年は九回を投げ切ったのが８回あった（完投数は６）。今年は３回（完投数は５）。中４日で投げれば、試合数が増えるし、その中で出た結果を評価する」と突っぱねた。

　前田健は完投数が減ったのはチーム方針で「僕が決める範囲じゃない」と言う。エースとしての自覚は２年前以上。チームのために「無理をして、行ったこともある」。その“心意気”の部分を数字だけでなく認めて欲しい思いがあった。

　「立場上言っていい思いもあった。カープだから上がらないと思われるのもイヤだし」。今後の鯉投陣のためにも、簡単には譲れなかった。

　２５日からは欧州へ新婚旅行へ行くなど、年内は予定が詰まっており、越年更改が決まった。広島で前回の越年は０６年オフの佐々岡氏。くしくも背番号１８を継承した先輩以来の“珍事”となった。

　「今回は色んな意見を言わせてもらい、査定ポイントを教えてもらった。選手の思うポイントの差と少しある。でも絶対的な差ではないし、気持ちの整理がつけば押すと思う」。年明けは１月１０日からハワイへ自主トレに行くため「それまでには」と、次回はすっきりサインをしたい思いだ。