菊池、東出離脱で二塁&遊撃Wレギュラー
広島の菊池涼介内野手(22)が1日、全体練習が行われた名古屋市内の室内練習場で野村謙二郎監督(46)からセカンドとショートの“ダブルレギュラー”に指名された。左膝の故障で二塁レギュラー候補の東出輝裕内野手(32)が離脱したことで、指揮官は菊池を軸に二遊間を形成することを明言。事実上、開幕スタメンが決定的となった2年目の若武者が、今季の野村鯉の命運を握る。
東出離脱の危機を、どう乗り越えていくか。これまでの構想を白紙に戻し、野村監督は苦渋の決断をした。
「菊池には、しんどい思いをさせてしまうけど、セカンドとショートの両方を守ってもらうことになる」
昨秋から温めていた「ショート・菊池」のプランをあきらめ、ショートとセカンドの“ダブルレギュラー”として起用し、今季1年を乗り切ることを決めた。
2月23日から沖縄で行われたオープン戦、練習試合の4試合で、菊池はショートで3試合にスタメン出場。当初の予定では2日からの中日戦(ナゴヤドーム)で、東出が合流し、「二塁・東出」と「遊撃・菊池」の二遊間が見られるはずだった。しかし左膝前十字靱帯(じんたい)断裂で東出が今季絶望となり、その二遊間は幻となった。
東出抜きの二遊間で最善策は何か。野村監督が考えたのは、梵と安部を併用し、菊池と二遊間を組ませるプランだ。二塁転向の可能性があった梵だが「手術した右膝の影響を考え、慣れている方がいい」と遊撃で起用する方針で、その場合は菊池を二塁で使う。ただ梵が1年間出場できる状態ではないため、その時は菊池を遊撃に回し、安部を二塁で起用するという。
ただ二塁、遊撃の“二刀流”は楽ではない。石井内野守備走塁コーチは「僕も経験あるけど、セカンドとショートは景色が逆だし、動きも逆。全然違うよ」と難しさを強調。だが「あいつには関係ないよ」と、菊池の能力ならばこなせることを付け加えた。
一人二役を任される菊池だが、全く気負いはない。「やるっきゃないでしょ。両方?問題ない。昨年も二塁で六十何試合か出ているし」と笑い飛ばした。もちろん責任の重さも感じている。「ベテランの人がいなくなるのはチームにとって痛いけど、その分、いるメンバーで埋めるしかない」。まだ今年でプロ2年目の若鯉が、東出不在のピンチを突破する鍵になる。