エルド豪砲も一瞬…鯉、天国から地獄
「巨人3-2広島」(31日、東京ド)
この一発で、今季初勝利をつかんだはずだった。延長十一回、2死無走者で、広島・エルドレッドが高木京から左翼席に豪快な一撃を放った。今季1号は均衡を破る勝ち越し弾。ベンチも、左翼席の鯉党も歓喜した。しかしその裏、この1点のリードを守ることができず、空砲となってしまった。
うれしいはずの本塁打も素直に喜べなかった。「両チームとも得点できない中で1本が出て、あとアウト3つだったんだけど…」とエルドレッド。野村監督も「最高のところで(本塁打が)出て、よしっと思ったんだが」と肩を落とした。
なぜ守りきれなかったのか。大きな要因は永川勝の離脱の余波だ。前日、永川勝が投げられなくなり、福井、横山、今村がそれぞれ2回ずつ登板。この負担で、この日は今村を1回限定にせざるを得なかった。横山にも疲労が残っていた。山内投手コーチは「苦しい展開。しんどかった」と厳しい表情を浮かべた。
さらに延長十一回にはベンチの指示が裏目に出た。無死一、二塁で脇谷を迎えたところで、外野へ前進守備の指示。結局、定位置ならば捕球できた脇谷の打球が左翼の頭を越えた。永田外野守備走塁コーチは「結果的に一塁走者をケアするという考えもあったかも」と表情を曇らせた。
これで東京ドーム10連敗。王者の壁は高かった。「地元に帰って仕切り直す」と野村監督。最悪のスタートとなったが、切り替えて立て直すしかない。