マエケン無援…G内海としびれる侍対決
「巨人3-2広島」(31日、東京ド)
今季初登板の広島・前田健太投手(24)が、巨人・内海との侍戦士対決でしびれる投手戦を演じた。巨人打線を5安打に封じる8回1失点の快投。坂本に浴びた同点弾が痛恨の1球とはなったが、圧巻の115球だった。しかし、打線の援護はなく、延長サヨナラ負けで赤ヘルの今季初星はまたもお預けとなった。
115球目、最後は気迫勝ちだった。1‐1の八回2死二塁の勝負どころで迎えるは、侍でともに戦った長野。フルカウントから7球目、内角への144キロで二ゴロに打ち取ると、前田健はガッツポーズし、叫んだ。
「(代表では)五回までしか投げていなかった。六、七、八回とスライダーが甘くなった」と言うが、巨人打線を5安打に抑え8回1失点。安定感抜群の投球だった。
日本時間18日のプエルトリコ戦(米・AT&Tパーク)で5回1失点の快投。帰国後は24日のオープン戦で3回を投げただけだった。少ない調整もなんの、本番にきっちり合わせるのはWBCでベストナインに選ばれた“世界のエース”の底力だった。
「ずっと状態はいいし、不安はなかった」と言う通り、立ち上がりから完ぺきだった。初回を3人で斬ると、二回は村田のバットをへし折った。四回2死までパーフェクト投球を続けた。
今季は開幕投手ではなく3戦目の先発。「楽しみ」と話していた相手は同じく侍の内海だ。「予想通りの展開」と、息詰まる投手戦を演じた。
力投が四回の先制点を呼び込み、試合はカープペース。だが七回だ。先頭の坂本を追い込みながらスライダーが甘く入った。同点ソロを左中間へ運ばれてしまった。
「スライダー(の曲がり方)がひっくり返った。本塁打で追い付かれる展開は良くない。勝つなら1‐0で勝たないといけない試合」と嘆く1球だった。
降板後、連日の延長戦となり十一回にサヨナラ逆転負け。「勝ち切らないと上位には行けない」。連日の接戦をあと一歩で逃したことにエースも悔しさを隠せなかった。
WBCでは各球団の主力とともに過ごした日々。「こんなにもみんな練習するんだと思った。外からだとやってなさそうに見えていたけど、(練習でみんな)帰るのは遅かった」。一流選手の意識の高さ、練習量などに驚かされ、何より今後の勉強になった。
開幕3連戦は2敗1分けで12球団唯一、白星がない。それでも、頼れるエース・マエケンがいる限り大丈夫。2日から本拠地戦で仕切り直すのみだ。