マエケン今季初星!変化球で福留手玉
「広島6-1阪神」(7日、マツダ)
広島・前田健太投手(24)が今季初の本拠地登板で7回無失点と好投し、今季初勝利を挙げた。WBC効果で手に入れた高速スライダーを新たな武器に虎打線を2安打に封じ、PL学園の先輩・福留も3打席無安打に抑えた。右前腕部内側の張りで交代したが、次戦に影響はなし。エースが5日の大逆転負けの悪夢を払しょくし、逆襲へ弾みをつけた。
本拠地は最後まで“マエケン劇場”だった。前田健はお立ち台で「チーム状況は苦しいけどファンの皆さんが暗い。明るく笑って球場に来て下さい」と鯉党に“喝”。勝負はこれから、とばかりに観客を鼓舞したのだ。
5日の阪神戦は5‐0から逆転負け。その負の流れを断ち切る快投だった。雨も降り、厳しい寒さの中でも「状態は良くスピードが出た」と、140キロ台後半の速球を中心に初回を10球、3人で料理。三回まではパーフェクトだった。
3‐0の四回2死一、三塁のピンチで、11歳上のPL学園の先輩・福留を迎えた。初球、チェンジアップで空振りを奪い、2球目の148キロ外角直球で左飛に仕留めた。
「いい勝負がしたい」と話していた先輩との初対決。前日には「先輩相手に変化球来たら怒る」と“脅し”をかけられていたが、対戦全8球中、直球は2球。「変化球ばかりになりましたけど、抑えられて良かった」と笑顔。3打席対戦して無安打と完勝した。
結局7回を投げ、打たれたのは西岡の2安打のみで無失点。新たに手に入れた130キロ台後半の“高速スライダー”が虎打線に効いた。
WBCに向けて早期に仕上げたため、「腕が振れスピードが出る」と、昨季まで120キロ台だった宝刀が自然と進化。米から帰国後のブルペンで感触をつかみ、新たな武器になった。
WBCで球数を投げていない影響で試合終盤には腕が張る。完封ペースだったこの試合も右前腕部内側に張りを訴え、92球で交代した。「点差も考え無理するところじゃない」と大事を取った。中5日で13日の中日戦(ナゴド)に登板する予定は変わりない。
お立ち台で並んだ丸とは、誕生日が4月11日で同じ。マエケンは例年、丸にお祝いの電話をかける。その後輩から、24歳ラスト登板を今季初勝利で飾る援護を受けた。
昨年4月6日にノーヒットノーランを達成してから1年。「早いですね。24歳はいい年だったので、25歳もいい年になるように」。赤ヘルの「いい年」を今年こそ導く。