マエケン「右上腕三頭筋筋膜炎」抹消へ
広島・前田健太投手(25)が20日、予告先発されていた巨人戦を右腕の張りを理由に急きょ回避した。球団は「右上腕三頭筋筋膜炎」と発表し、21日に出場選手登録を抹消することを決めた。また、ブラッド・エルドレッド内野手(32)が四回に右手に死球を受け退場。広島市内の病院で検査を受け「右第5中手骨骨折」と診断された。エースと4番が離脱する緊急事態。試合も巨人に完封負けし、4位に転落した。
スタジアムに衝撃が走った。試合前「先発は前田健太に代わりまして中崎翔太」とのアナウンスが流れた。大粒の雨が降りしきる中、黄金新人・菅野と投げ合う前田健の勇姿を心待ちにしていた鯉党。予告先発の変更に、驚きの声が上がった。
ウオーミングアップは普段と変わらず行った。しかし、ブルペンへ移動しキャッチボールを行ったとき、右腕に張りを感じたという。野村監督らと話し合い登板回避が決定した。練習を終えた前田健は「張りというか痛みというか、昨日(19日)からあった。無理していったら怖さがあった。ここでやめるのが早めに戻ってくるための処置だと思う」と言葉を並べた。
球団は「右上腕三頭筋筋膜炎」と発表。21日に出場選手登録を抹消する。復帰時期は未定だが、石井トレーナー部長は「投げるときに痛みがあったがシリアスなものではない」と軽症を強調。野村監督も「まだ百数十試合ある。無理はさせられない」と決断の理由を語った。前田健にとっては、10年8月20日の横浜戦で右手中指のマメをつぶして以来の抹消となる。
今季、エースは開幕前から万全な状態ではなかった。WBC日本代表入りを見据え、キャンプから例年になくハイペースで調整。大事には至らなかったが、右肩痛を発症した時期があった。開幕後は右前腕部内側に張りを訴えた。初勝利した今月7日の阪神戦は完封ペースにもかかわらず「無理をするところじゃない」と、7回92球で降板。故障知らずの右腕だけに、周囲は「WBCのために調整を早めた悪影響が出たのか?」と心配した。しかし「何の影響かはわからないが、WBCの影響はないと思う」と本人はその声をはねのけた。
今後はチームに帯同しながら回復に努める。「そんなに大ごとではない。最短(10日)で戻って来る」とマエケン。帰宅前には笑顔があった。背番号18の言葉を信じ、早期の復帰を願うしかない。