中村恭プロ初星!直球で押し7回0封
「広島7-1中日」(28日、マツダ)
待ちに待った初勝利だった。試合後のお立ち台に上がるのは、もちろん初体験。広島・中村恭は「(投球より)こっちの方が緊張します」と、今季最多3万超のファンに笑顔を振りまいた。
全力で飛ばした。一回、先頭の大島に対する初球は149キロ。2球目はそれを上回る150キロを計時した。その後、四球、失策で無死一、二塁のピンチを迎えたが、クリーンアップの3人を力でねじ伏せた。二回以降も再三のピンチを切り抜け、結局7回無失点。「三回くらいに疲れたのでやばいと思った」と白い歯を見せた。
同世代は前田健や楽天の田中、巨人の坂本らがいる黄金世代だ。今年1月に開催された「88年会」では、昨年8勝のソフトバンクの山田と会話したという。これまで1軍で活躍する同級生に気後れした部分はあったが「同世代はすごいけど、考えることは同じ。焦る時もあるけど、その時落ち着いてどう対処できるか」と気付かされた。
昨年は制球力を安定させるためにフォームを改良した。しかし代償として球速が10キロ近くダウン。その後は球速が戻らずに苦しんだが、今春のキャンプで山内投手コーチにセットからワインドアップへの変更を提案され、これを受け入れて冷静に実践したところ、直球に力強さが戻った。
「ストレートがなくなったら訳の分からない投手」。初勝利で改めて自分の長所を確認できた中村恭。眠っていた能力がやっと開花し始めた。