大竹が連敗止めた!完封逃すも3勝目

 「広島3‐2DeNA」(8日、マツダ)

 広島・大竹寛投手(29)が魂の力投で赤ヘルを救った。九回2死から打たれ、09年以来の完封を逃して「悔しい」降板とはなったが、8回2/3を8安打2失点で堂々の3勝目。背中の張りから13日ぶりの復帰先発で、白星をつかみ取った。チームの連敗を5で止め、前夜の悪夢の惨敗もスカッと吹き飛ばした。

 お立ち台で大竹は苦笑いするしかなかった。「気持ちの整理がついていません…」。09年10月10日の巨人戦以来、4年ぶり完封はあと1死でスルリ。鯉党の歓声を浴びながら、勝利のヒーローは誰より悔しがった。

 チームは5連敗中。「絶対勝つ」と気合を入れた登板で八回まで無失点に抑えた。3点リードの九回、「行くつもりだった」と大拍手の中、続投のマウンドに向かった。

 いきなり連打を浴び、無死一、二塁としたが動じない。代打・ラミレスをチェンジアップで空振り三振。続く怖いブランコをスライダーで空振り三振に仕留めた。

 あと1人。だが中村に中越えに運ばれ、2点二塁打。交代を告げられた。ベンチではうつむき、ガックリ。「期待に応えられなくて申し訳ない。やりたかった。勝ったのにこの気分は…」と、勝利後もぼやき続けた。

 野村監督は「一にも二にも大竹」と文句なしの8回2/32失点を褒め称えた。背中に張りを訴え、先週は遠征を離れて登板予定を回避。13日ぶりの復帰先発で最速147キロにチェンジアップの精度が抜群。相手打線の軸・ブランコを3三振、4タコに斬り伏せた。

 背中の張りは肩甲骨付近の右背筋。11年まで苦しんだ古傷の右肩に近かった。無理をすれば、また右肩に負担がかかる。大竹自身が一番慎重になり、自ら希望して検査を受け不安を取り除いた。

 3軍では相撲の四股のような動きを取り入れ股関節の動きをほぐした。「知らないうちに体全体が硬くなっていた」。故障に長期、苦しんだからこそ自身の体は知り尽くす。ゆったりした大竹らしいフォームを取り戻して右腕は帰ってきた。

 オフなどには自宅に若手投手らを招き、鍋パーティーを開く。「好きなんですよ。家でワイワイやるのが。嫁さんは最初、ビックリしてましたけど今は喜んでます」。マウンドを離れても頼れる“兄貴っぷり”だ。

 連敗を止め、借金は5に減らした。「謙虚にいきます」。次こそ完封の思いを胸に秘め、大竹は笑顔を見せた。

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