マエケン128球力投も…悔し完投負け
「交流戦、ロッテ3‐2広島」(20日、QVC)
痛い3連敗。でも、マエケンは責められない。広島・前田健太投手(25)が、完投しながら悔しい2敗目を喫した。初回に味方の守りのミスで先制されるなど2失点したが、その後は七回まで0封。八回に押し出しで1失点し、8回6安打3失点。128球の力投で味方の援護を待ったが、報われなかった。
126球目のスライダーが外角をわずかに外れた。0‐2の八回2死満塁、フルカウントから清田に押し出し四球。痛恨の追加点を許した前田健は思わず座り込み、何とか立ち上がった後も、天を仰いだ。
エースの責任は十分に果たした。初回1死二塁、井口を中飛に打ち取ったが中堅・中東が打球を見失い二塁打に。ここから内野ゴロの間と清田の適時打で2点を失った。
「調子は普通。良くもなかった。初回、粘れたら良かったけど…。ただまだ初回だったし、抑えていけば何とかなる」と、二回以降、ロッテ打線をねじ伏せた。
二回から四回は9人でピシャリ。五回1死一、三塁も荻野貴を二飛、井口を三ゴロに仕留めて脱出。七回2死一塁では絶妙なけん制球で一走を刺した。
七回で100球を超えていたが、八回も続投した。今季最多の128球を投げ抜き、8回6安打3失点。今季初の完投は、皮肉にも昨季5月26日のオリックス戦(ほっともっと)以来、自身5度目の完投負けとなった。
0‐3の九回に味方が2点を返しただけに、悔しさは隠せない。「八回の押し出しが余計」と、帰り際は珍しく感情をあらわ。コースは惜しかったが、と問われると「惜しくない!」と、吐き捨てバスに乗り込んだ。
今季3度目の3連敗で借金は6。痛い星を落としたが、エースは責められない。野村監督は「悪くはなかった」とかばい、山内投手コーチは「言うことがない投球」とたたえた。
練習休日の16日には、北別府学氏(現野球評論家)の自宅に中村恭らと招かれ、バーベキューを楽しんだ。数々の球団記録を持つ、「目指す偉大な先輩」への思いも一層強くした。「負けられない」と、大エースの道を自身が継承するつもりでいる。
2敗目を喫したが、防御率1・08はリーグトップ。好調をキープするマエケンがいる限り、赤ヘルは浮上できる。